2007/11/23

「紙の建築 行動する」と言う本

「紙の建築 行動する」と言う本を読んだ。
建築家 坂茂(ばんしげる)氏の書いたものだ。

建築材料学や構造学には今のところ決して出てこない「紙」を使った建築について書かれている。サランラップの芯に使われているような紙の筒の大きい物を用いるものである。神戸の震災後に造られた鷹取教会がその代表作だとの事。

あの震災の時、私は日本に居なかったので鷹取教会が当時どうであったのか、その後この紙の教会が造られた事が大きな話題になったかどうかは知らなかった。この本で初めて知った位であるから、この本に書かれている事には少々びっくりした。

教会の紙管の厚みが15mm、であれば1/100の模型では0.15mmであるからケント紙の0.3mmの半分しかない。つまり鷹取教会の模型を作る場合にケント紙の半分の厚みの紙で筒を作ることになる。かなりペラペラの紙である。(スケール感を考える場合、普通は模型->実際の建物と考えるべきだろうが、これはその逆。)もっとも、教会の上にはテントしか乗っていないから、紙管はほぼ自重しか支えていないので垂直方向の荷重としては楽であろう。どちらかと言えば高いテント屋根の下の空間を確保する為の構造である。

気になるのが台風などの横からの力に対してどう対処しているのかである。
写真では基礎のボルトで、筒を差し込むための木製の部材を止め、そこに筒を挿している。筒の上部も多分同じようなやり方だろうと思われる。さて、どう対処してるのだろう?



この本の後半ではボランティアの問題も書かれている。日本人にはそれをしようとする人も少ないし、適した人も少ないと言う事だ。確かにそうだと思う。その事についてここで詳しく言う必要も無いだろう。

同じ視点から「建築家は社会の役に立っているの?」と問うた場合、どうか。
......これには答えが出せないと言うことにしておく、今は。

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