2007/11/26

安藤忠雄の空間構成 その1

安藤忠雄の空間構成の特徴をまとめている。


安藤建築の特徴が一番良く現れるのは「鳥瞰図」ではないだろうか。
どれを見ても長方形、正方形、三角、円弧と言った幾何学模様が地面に転がっている。これに匹敵するのはルイス・カーンだけかもしれない。この大胆鳥瞰図のさはそれを超えるかもしれない。

手法としてはル・コルビュジエの都市計画に類似する。
ル・コルビュジエはパリの都市計画では幾何学的な線で土地を分割して機能を決めていた。批判する者はそれをそれは「神の視線」の様に言う。


安藤忠雄も土地を幾何学で切り取る。
分割された空間は周囲と溶け合ったり交じり合ったりする事は無い。土に埋もれたり草木に覆われたりする事はあるが決してその境界があいまいになったりはしないようである。

であるから安藤建築の空間に機能上の曖昧さは無い。このあたりはル・コルビュジエに似て、黒川紀章とは異なる。


しかし、安藤建築が周辺環境から全く孤立しているかと言えばそうではない。

曖昧でない建築の空間には周辺環境の要素の一部が挿入される。それによって周辺環境と建築とが呼応し対話するかのような配慮がなされている。

周囲に緑の自然があれば緑が、海や湖水があれば水が幾何学空間の中に挿入される。
この事で建築は周辺の環境と呼応し、会話し、共存しようとするのである。



なぜ幾何学を使うのか?

安藤忠雄は建築はを人智の結果として捉えていると考えられる。幾何学は人間の知恵の行き着く所であり、また象徴である。安藤忠雄は建築を幾何学と同じようなものとして捉えているのである。であるからその建築空間は周辺環境を一旦は拒絶する。その後に環境との対話を始めるのである。




鳥瞰図における幾何学についての疑問

ただ、実際に人間が建築を鳥瞰図のように見る機会はほとんど無い。空間を近くからは認識できないほど大きな幾何学で切り取る事は、その建築を間近に見る人間にとってどう言った意味があるのだろうか。

この点を実際に安藤建築を見て確認すべきであろう。


つづく

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