2008/08/31

景観デザイン論

景観デザイン論の課題は知識よりも見識を求められるものと思われる。つまり基礎知識がまず必要で、その言語を元に論理を組み立てなければ書けない。設題が抽象的なので言える範囲が広すぎて、さらに難しいと言わざるを得ない。試験の直前に行うのでは難しかったようだ。

下はまだ書き掛けで今後順次更新予定。
関連情報をお持ちの方、コメントください。

1.景観とは、またその特性とは?

「景観とは人間をとりまく環境のながめにほかならない」(中村良夫)

景観とは単に人間の周囲にある物や空間そのものやその配置を指すのではない。
人間は周囲の環境を視覚刺激として感じ、それを心理的フィルタを通して認識している。つまり外的環境を内的システムを通じて変換した上での認識の状態が景観なのである。

よって景観は常に人間を中心に存在するもので、人間の居ない場所、例えば自然環境の中にはそれがいくら素晴らしいものであっても景観は存在しない。景観は人間の主観的要素が強いものなのである。

景観は主観的要素が強いとは言え、個人個人によって全く異なるものではない。それは同じ文化的共通項や生物としての人間の共通の性質があるために共有する事のできる部分が多いからである。

また、景観は人間の主観的要素に依存するため、人間の行動、見方や捉え方によってさまざまに変化する。比較的短時間に透視図に眺める「シーン景観」、視点を移動させながら眺める時の「シークエンス景観」、それらを総合した「場の景観」、長い時間の中での変遷を捉えた「変遷景観」などがそれである。

このように、景観は人間を通した文化的概念と言う事ができ、景観を手がかりにすれば環境と人間とは対象と観察者として分離した存在ではなく、互いに相互関係のある分かち難い存在であると言えるのである。



2.景観デザインと風景論、景観設計の違いとは?

景観デザインは人間をとりまく環境の人間の主体的ながめを扱うものである。
そのため、物や空間の操作にとどまらず、それが人間に対してどういった印象を与えるかを扱うものと考えるべきである。

環境が人間に与える印象は、物や空間の物意的、生理的な見え方に加えて、文化や地域特性に照らし合わせた意味、経時変化、それらを総合して出来上がる都市、時間的奥行きを考慮した変化などもその要素であり、景観デザインの扱う対象でありそれらに秩序を与える事、また見る人間と対象の関係お含めて調整していく事が景観デザインである。

景観設計では景観の中に存在する物(施設、構造物など)や空間の形態など、ディテールを検討するのが主であり、より範囲は狭いと言える。

これに対して風景と言う場合には景観と同様に人間の主体的なながめを言うが、より個人的感覚から来る美観を含めたながめを言う場合が多い。よって風景を景観と同じように操作する対象として扱うことはできないであろう。


風景画の新しい意味 遠近法に関連して
 -藤縄千艸 兵庫教育大学学校教育学部


3.西洋の景観と日本の風景の相違(5項目)
※西洋について「景観」で日本について「風景」と言うのはなぜだろう? そのあたりに回答のヒントが隠されていそうだ。

a.人工と自然の区分
・西洋においては神が創造した人間は自然からは切り離された特別な存在である。自然は人間にとって征服すべきものであるが、その考えは逆に人間が保護する立場をも表すものである。保護すべき景観は手付かずの状態を保持するために保護されるが、都市は人間の英知をもって開発されるものであり、区別される。
・日本では人工と自然の境界はあいまいである。人の造る庭は自然の風景を模して造られ、家はまるで自然のなかに"できてしまった"かのように現れる。そのため自然の中に建築物を置く行為に善悪の区分は適用されず、絶対的な秩序は存在しないと言える。そのため風景の中に人工物が存在することに不自然さは無い。

b.中心性と奥性
・西洋の街には中心が存在する。中心にはシンボルが建てられ、そこから街が広がって境界線である壁面で終わる。都市はその多くの場所からみて中心は明快で、すなわちそれは宗教のような心の拠り所、または権力構造と一体となった景観である。
・日本では神性は相対的である。神の宿るところは人のいる地から"奥"の場所にあり、そこは決して踏み込めない場所ではない。神聖な場所とそうでない場所は明確に区分されずあいまいで、奥を見通すことは不可能である。自分のいる地点から奥にかけて不確かな道をたどっていくにつれて風景は変化し、その過程において地面から受ける筋感覚も含めた経験が一つまとまりのあるシーケンシャルな景観体験となっている。

c.永遠性と刹那性
西洋の景観を成すものは、自然も人工物も含めて永続性のあるものと考えられ、それが理想とされる。壊れたところは元の状態に修復され、永続性を管理される。
日本の風景は時間や季節により移ろうのが自然なこととされる。散り行く桜のようにその移ろいが美の一つのパターンとなっている。

d.直進性と後戻り
日本人は、現代的でない物や事を言う場合に「残っている」と言う表現をする。残っていると言う言葉の中には、それを慈しむ気持ちと同時に後進的であるというネガティブなニュアンスをも含んでいる。であれば、世の中の流れは直線的に発展する方向へ進むと言う合意があるのであって、決して後戻りはしないのである。
西洋では必要とあれば後戻りさせると言う発想もある。新しく作られる都市においてローマ時代の様式を模して用いたり、新型の自動車デザインに50年前のデザイン要素を取り入れる事も自然に行われる。これらは自らの出自を常に確認しながら生きると言う価値観、歴史観から来るものであろうか。

e.心理的と物理的区分け
日本においては、遠くの山などの自然を借景とし家の庭とそして室内にある物全てを視界の中に収めて区切り無く風景として見ることもあれば、特定のパターンに合った風景の要素を頭に中で切り出して鑑賞する。これは壁のような物理的区切りがあろうと無かろうと、鑑賞する個人の都合の良いように心理的な操作をしていると言うことである。つまり景色の中の見える物どうしの関係は鑑賞者に依存するのである。
それに対して西洋では物理的区切りの有る無しはそのまま空間の繋がりの関係を表すものである。



4.どのように景観をデザインするか。(具体例)

景観は人間をとりまく環境のながめであり人間の主観に基づくものであるから、景観を形成するにはそこに居る、または訪れる人間のコンセンサスが、どの場所のどの景観においても必要となる。

例えば、川越でのように往時の面影を残す街並みではそこに暮らす住民においても行政においてもコンセンサスは得やすい。しかし新たに築かれた郊外の街では自然等にその種を求めるなどの必要があるために調査が必要であろう。さらに埋立地のような目だった特長の無い場所においては元になる目標物を見つけることは難しいが、これは時間をかけて特徴を造っていこうと言う住民の意思をもって待つしかないのかも知れない。

景観デザインで重要なのは形状の操作でなく、それが人にどう言う印象を与えるかと言うことである。前述の川越の場合には蔵造り建物が存在し、それがこの街特有の印象を形作る要素であった。これらのディテールをコードとして採取し、それを多くの建物に適用することで統一感ある街並みを造ることができた例である。

埼玉県川越市|まちなか再生事業

川越 ― 伝統を活かしたまちづくりと地域再生 -川越市教育委員会文化財保護課 加藤 忠正


5.都市の景観とそのデザインの方法

都市景観の特徴
・人々がいだく都市の理想像、歴史的蓄積、都市的活動の状態、地理的環境、権力者や事業者や生活者など多くの人々の矛盾する意図などが複合的に積み重なってできている。
・都市景観を形作る要素には人間の関与した造形物がほとんどである。
・都市空間は社会的意図によるマクロ的造形と人間の生活からくる意図によるミクロ的造形がモザイク状に並んでいる。例えば広い街路はその都市全体の産業基盤であるが、路地は生活基盤として作られる。また街路に面する部分の多くは商業等の産業用途に使われるが、路地に面する部分の多くは住宅となっている。
・都市では地表面からの遠景は望めず、視界と景観は主にその街路の建築物によって決められる。建築物の上部からは遠景の望めるが、同じ地点からであっても高さが違うだけで地表面からの景観とは全く異なる景観が出現すると言う、景観的には二重構造となっている。
・都市にはイメージとして良くないために居住の場からは取り除きたいと思われる場である風俗街や飲み屋街などの部分も含まれる。

都市景観のデザインの方法
現実的な都市景観のデザインの方法にはディテール~都市全体計画の各レベル毎に方法があるが、都市全体をマクロ的に改善していく方法はいろいろな理由により近代以降成功はしていない。
従って、ディテール側からデザインする方法がより現実的であろう。

a.イメージやコードを読んでデザインに活用する。
多くの人がその都市の特徴的なものとして上げる物を取り上げ、その要素に対して人々が抱く意味や相互関係を調査して骨格と位置付ける。また、既存の建築物や構造物のデザイン上の特徴的なディテールがあればそれをコードとして採用し新規建築物のデザイン要素として位置付ける。

b.上記の方法では都市がそこに活動する人の意図や生活様式を反映したものである事から、既存の都市の特徴を強化する方向でデザインする方法である。しかし、現代日本の都市は変化を旨とする意図も大きく、その方法では活力を失ったように感じられる可能性もあり、あまり過剰に行うとテーマパーク化してしまう可能性もある。であれば、都市の場合には既存のイメージに無いコンセンサスの得にくい少数意見を取り込んでみるような仕組みも考えたり、既に造られてしまった物を良くないものでも認めつつ更新していくべきではないだろうか。
(このあたりはテキストにも参考書にも無いと思う。)



6.道路の景観の特性とデザインの方法

道路景観の特徴
・歩行、自転車、二輪車、自動車とそこを動く方法とスピードが変化すると同じ道路の同じ場所であっても見える景観はさまざまに変化する。
・移動に伴うシーケンシャルな景観が見られる。
・目的地に対して移動することを考えると、現在位置の確認が可能であると言う機能も必要である。

道路景観のデザインの方法
・移動手段の違いによって見える景観が異なるため、それぞれに対応する景観デザインを考慮する。
・移動速度が速くなるほど近くの物は流れて見えるため、ディテールよりも遠くの物(ランドマーク等)の見え方や全体に統一された配色、統一的に配された植栽の形状が重要となる。走行する路面のすぐ横に間隔を空けずに樹木を多く植えたり電柱が多い場合にはうるさく感じられる。
・景観要素を統一しすぎては退屈に感じられるのと、どの場所に居るかが分かり辛いので適当に変化させる。
・移動速度が遅い場合には歩道のテクスチャや植栽の花、ストリートファニチャーのような細かな部分に視線が集まる。また、上方への視界はそれほど無く、水平から下が重点となる。


7.街並みの景観の特性と、生活の場としてのデザインの方法

生活の場としての街並み景観の特性
・他人に見せるための景観ではなく、住人のためのセミプライベートな景観である。
・その場所の景観は住人の街との付き合い方や近所付き合いの考えか方に依存している。例えばヨーロッパでのような家と街路の関係であれば住人は家の中央部側を向き街路には背を向けて生活しているが、伝統的な日本の住み方であれば街路に向いた住人どうしの繋がりができるために街路の街並みに関しても意味合いが異なるであろう。ただ、どちらにしても住人の生活とは遠いものではないと考えられる。

生活の場としての街並み景観のデザインの方法
・直接これをデザインしたり誘導する前に、この景観をどうしたいかと言うコンセンサスが必要であろう。
・生活の場であっても個人の土地と道路や公園などとして指定されている公共の土地に分割されており、街路は住民が直接手を出せるようにはなっていない。そう言う状態が長く続いた後の現在は住人はそこを手の届かない場所とあきらめてしまっているのではないか。管理責任区分としてそれは合理的であるとも言えるが、人間の生活は境界線で切断できるものではなく、親しい近所の住人と付き合いをする場所、生活の場所としての場が幹線道路などと同じではおかしいと考えられなくもない。であれば、ある程度放っておいて自分の家の前は自分で管理し快適化してもらう余地を残すべきではないだろうか。デザインをしないと言うデザインの方法である。ただし、そこを仮住まいと考えて関与しない人、街路を駐車場にしてしまう場合もある事には注意せなべならないだろう。


8.農山漁村の景観の特性と、生産の場としてのデザインの方法

農山漁村の景観の特性
・生産活動に直結した景観であり、生産の都合によってできた景観である。
・生産の都合によって作られた景観であるから、生産活動に変化があれば用意に変化してしまう。
・日本で田園のながめが風景として認識されたのは明治になってからの事である。それ以前は農山漁村はどこにでもある普通のもので、生産の現場でしかなかった。
・現在では日本人の原風景のような捉えられ方をしている景観である。

農山漁村の景観デザインの方法
・生産活動の方法や産業構造が変われば農山漁村の景観は変化せざるを得ない。もし景観価値のみで保全、保存してしまうとその景観の中に住んでいる住人の経済活動は停滞してしまう可能性があるからである。従って単純に景観保全の価値を論ずるだけでは保全はできないであろう。
・現在も、石油の価格が高騰し魚が獲れても赤字となったり、海外の安価な農産物や木材が輸入されることで農林漁業の生産が縮小しているために農山漁村の生産資源が放置され景観も破壊する傾向にある。これは生産システムが保護政策によって旧態依然非効率なままであったり、流通システムが非効率であるなど産業構造全体の問題が大きいと考えられる。
・農山漁村の景観をこれまで通り「残すもの」として静的に捉えるのでなく、産業構造や生産システムの変化によって緩やかに変化する景観と捉えなおすべきではないだろうか。「残すもの」と考えるのはそこで生産に従事している者ではなく、たまに見に行く外部の者達であろう。
・一般的な方法論としては、地域で入手できる材料を使い、地域の技術を生かして必要なものを造る事。


9.自然の景観の特性と、人間がどこまでデザインして良いかと言うこと

自然の景観の特性
・自然の景観は人が意図して造られたものではない。
・形がはっきりしたものばかりではなく、大きすぎて視点の定まらない森や海のような対象物もある。そのために目標物ではなく背景として見られる場合がある。
・自然の景観はその眺める位置によって大きく異なる。自然環境の内部に入ってみた場合の景観は取り込まれた感じを受けるが、そのすぐ外では全体のスケールの大きさを感じ、遠景では他の者の背景になったりテクスチャの変化を感じたりすることができる。
・季節によって変化する。

自然の景観を人間はどこまでデザインして良いか
・自然の景観を人間が良い状態で感じられる事と、自然が自然のままの良い状態であることが両立するかを考える必要がある。
・自然の良い状態とは、人間が見て美しいと感じる状態ではない可能性がある。冬の荒れた海のような厳しさや冷たさ残酷さ、砂漠の人間にとって過酷である状態も含むと考えるべきであろう。つまり、これらを人間にとって景観となるからと言って人間に快適な景観に変更して良いわけではない。自分たちが壊したり汚した部分を元に戻す以上に自然そのものに手を加える必要はないのではないか。
・しかし、自然を景観の資源として見るならば、自然それ自体に直接手を加えなくても操作は可能である。遠くから見える部分について、近くにある人工物や植栽樹木との対比や秩序に気を配ることで良い景観は実現可能だからである。



10.歩いて観る景観と車窓(自動車、列車、飛行機)からの風景の違いとは

歩くほど速度が遅い場合には路面や建物のテクスチャやディテールが良く見える。その為、歩行者からの景観は個別のシーン景観となり易い。

速度が速くなればそうした細かい物は流れて見えなくなり、次第に遠景の大きなものが目立ち始めたり建物をマスとして捉えるようになってくる。また多くのものを短時間で視線に入れ、その経験が重なることでシーケンシャルな景観として印象付けられたり、積分されて街や地域の全体景観として記憶される。

2008/08/30

建築計画学Ⅱ

今日から6日の試験に向けて試験モードに入る。
卒研の方はしばらく中断。手は休んでも頭は少し動くだろけれど。


1.公共建築の規模

a.規模単位
施設の規模を表す単位として用いる。図書館なら蔵書数、集合住宅なら戸数のようにタイプによって異なる。これは用途が同じであれば機能単位ごとの使用面積がほぼ決まっていることによる。
  
b.面積単位
規模を表すより、どちらかと言うと質を表す。例えば大学図書館では7~30㎡/席に対し、公共図書館では3.5~10㎡/席と席あたりの使用面積は小さい。同じ図書館と言うタイプにおいてどのような性格の図書館であるかを示すものである。

c.利用圏
利用者の居所から施設に至るまでの広がりを距離で表したもの。これは施設の性格や類似施設の有無、地域特性交通等の環境要素によっても異なる。一般の公共図書館の利用圏域は1~1.5kmとされているが、大学図書館では学内の者しか利用せす利用圏域はごく狭い、また専門図書館では利用率は低下するが利用圏域は広い。


2.ライフサイクルコスト(LCC)
ライフサイクルコスト=イニシャルコスト(20%)+ランニングコスト(80%)
新築時のコストは建物のすべてのコストの中でそれほど大きくはなく、その後のコストの方が大きい。従ってメンテや改修に費やすコストが大きすぎるようでは建物は継続して長期間使用されず、建て替えられてしまう。その場合、施主が支払うコストは小さくとも廃棄物の発生、環境などの(金銭に換算されるもの、されないもの含めた)社会的コスト負担が増大してしまう。


3.公共空間における利用者の動線計画
省略


4.公共施設への住民参加
20世紀の公共建築は、作る者(官)と使う者(民)と言う関係の中で造られてきた。
a.法令によって決められているから造る。
b.地域特性を考慮せず他地域と同等にするために造る。
(c.公共投資の対象として造る。)
などにより、
d.使用者の要求水準に合わない。
e.予測した需要と異なる使われ方をされる。
などの問題が出る。

住民参加型とすることで、
a.規模と質を適正なものとすることができる。
b.運用管理体制も適切で利便性あるものとなる。
c.コスト(税金)の最適化が図れる。
※但し、公共の空間は需給バランスのみによって造られるべきものではない。非常時に備えるものであったり、少数の者にも機会を提供するものである必要があるからだ。


5.生活圏の規模とコミュニティ施設の関係(種類や機能)
※この課題はテキスト(「建築計画を学ぶ」(理工図書))の32章がメインであるが、この章の文章はとても読み難い。一つの節の中にいくつかのセンテンスが入っているが、それらの関係が示されないまま文が進んでいってしまう。前のセンテンスが次のセンテンスの根拠になるなどの繋がりが必要であるはずが、単に並べてっかれているだけだ。文章が下手なのである。

コミュニティ施設に要求される課題は、
a.伝統的地域集団の文化の継承
b.地域住民の学習活動支援
c.地域住民の交流と地域活動の振興
などであり、具体的には、町会、自治会、協会、協同組合、管理組合、趣味のサークル、共同学習、地縁行事などのコミュニティによる発生行為に場所を提供することである。

これらのコミュニティ活動はそれぞれ居住者の生活に基づいた生活圏域の中で行われる。
居住者の生活圏域は一般に以下の4つのレベルに分割して考えることができる。
a.基礎生活圏:住居周辺
b.一次生活圏:地域周辺
c.二次生活圏:地区
d.三次生活圏:都市
しかし、これらの分割は地理的距離や行政上の区分のみに規定されるものではない。伝統的な集落単位、祭礼行事に参加する地区単位、買い物や遊興娯楽の利用圏、都市計画上の地区単位、などが重層的に錯綜して存在することも考慮せねばならない。また、他の施設との距離、施設までの時間距離についても検討を要し、それらは人口密度、対象面積、施設需要、利用者属性などから検討される。加えて、地域拠点地区、小学校、鉄道駅、ショッピングセンター、公園等の通常の生活の中で立ち寄る施設や地域との関係の深さ(心理的距離)も考慮して施設位置やその要求される機能を設定すべきである。

コミュニティ施設の類型は以下のようなものがある。
a.地域行政センター
行政サービスを地域毎に補完する意味で設置されるもので、高齢者支援施設などが例である。
b.生涯学習専門施設
社会教育のための施設
c.住民の拠点施設
特に集会のための施設である。
d.各種専門施設
ホール、体育施設、展示やギャラリーなどの特定機能を有する施設。

上記は各々その対象とする生活圏域に応じた規模とされる。例えばcの住民の拠点施設であれば、地域や地区レベルでは公民館、都市レベルであれば公会堂のように規模を変えて設置される。



6.小中学校の運営方式と配置計画
運営方式
a.総合教室型
b.特別教室型
c.教科教室型
d.オープンシステム


7.美術館、博物館の一般構成と展示機能の課題

(1)一般構成-省略

(2)展示機能の課題
a.できるだけ多くの人に見てもらいたいと言う公開性と、貴重な財産を保存すると言う管理性・安全性(閉鎖性)の相反する要素をどう言った方法で両立させるかを解決しなければならない。

b.ホワイトボックス型とするか個性のある展示空間とするか
これは一般に良く言われる問題で、両方とも採用されて実際の美術館になっている。見せる機能だけのことを考えればホワイトボックスで充分だが、見る人間の居る環境の事まで考えると個性的なものにしても良いように思われる。だが、それが展示物への制約になってしまわないかと言う問題も残る。

c.光の問題
展示物が自然に見える光、また上記の問題に関連して鑑賞者にとって心地よい光をどう作り出すか。展示物の違いによるセッティングのし易さやコストにも関連する。

d.構成の問題
さらに鑑賞者にとっての鑑賞環境を考えるときに、べったり作品が置かれているだけの空間ではなく適当なお大きさに分断してリズムを付けるなども必要ではないか。

e.見る以外に必要な環境
触れる、体験する、他人と共同して行うなど、多様な機能が必要になることも考えられる。



8.コンサートホールと劇場の違い
コンサートホールの主眼点は音を聞くこと、劇場では舞台上の動きを見ること。これにより違いが発生する。
主に違う点は、a.舞台、b.客席 である。

a.舞台
コンサートホールでは劇場に比べて制限が少ない。
劇場は観客に見えない部分に仕掛けが必要である。(例:プロセニアム形式)
劇場では演じられる内容によって舞台開口部の寸法がほぼ決まっている。

b.客席
劇場では舞台からの視距離によって客席の形状はほぼ決まる。
コンサートホールでは客席は音響効果に影響があるため、形状より音響性能にとって重要。形状そのものは音響コントロールができれば自由度がある。
残響は劇場では0.9sec程度と短く台詞が明瞭に聞こえる必要があるが、コンサートホールでは残響1.5sec程度と長めでどの場所でも均一である必要がある。


9.社会福祉施設の名称と概要、高齢者福祉施設に求められる機能

(1)社会福祉施設の名称と概要
高齢者福祉以外の社会福祉施設を入れると多種あり。大きく分けて以下の3つ。
a.社会的弱者支援施設
・婦人保護施設
・児童福祉施設
・母子福祉施設
・保育園 など
 
b.高齢者支援施設
・老人福祉施設(各種)
 b-1.老人保健施設
 b-2.特別擁護老人ホーム
 b-3.デイサービスセンター
 b-4.ケアハウス
 b-5.グループホーム
(b-6.ホームヘルパーサービス <-施設を伴わない)
上記は保健系と福祉系に分かれる。(サービスとしては医療系もあるがここでは割愛)
それぞれ在宅および施設でのサービスのどちらか、または両方を提供する。

c.身体的弱者支援施設
・身障者更生援護施設
・知的障害者援護施設
・精神障害者社会復帰施設 など

(2)求められる機能
省略


10.オフィスビルのコアシステム
省略

2008/08/27

かくれた次元



「かくれた次元」(エドワード・ホール みすず書房)を読んでいるが、この中で動物は混み合い具合によるストレスが個体数を調整しているとの事であった。その調整の仕方はお互いで殺し合ったり、行動が異常となったり、体質が変化したりなどがあるそうだ。

ここには人間の例が書かれていなかったので、ネットで出てきた日本人のデータでそれが証明できるかどうかちょっとグラフを作ってみた。厳密なものではないが、ある意味新発見かも知れない。

グラフは縦軸に特殊出生率、横軸に人口密度(対数)をとり、県ごとにプロットしている。(ラフなグラフなので縦軸と横軸のデータ年が違っている。)


最近、小子化対策として国がいろいろな対策に予算を付けているが、もし少子化が都市構造に関わる人間の生理的な性質からくるものであれば、それは政府が考えているような問題ではないかもしれない。人口密度を低下させる施策を考えるなど建築や都市計画分野の問題であると考えなくてはならないだろう。

ただ、人間は動物と違って環境を自分の身体の延長として変化させる性質があるので、高密度が快適な状態であるのか、高密度に"なってしまった"だけなのか、そのあたりは議論の余地があるだろう。鶏と卵のような議論が。(産業構造の変化?->高密度化->ストレス->緩和するための住居構造変化->ストレスの変化->少子化->???)

2008/08/25

9月の受験票届く

9月6日の試験の受験票が届いた。

東京サテライト
2限目 建築計画学Ⅱ
3限目 景観デザイン論


景観デザイン論は見識を持って望まないと難しそうな設問ばかり。
しかし、卒業研究の内容とダブル部分が多いので卒研の勉強をしているとこちらのためにもなる可能性あり。少し期待している。


今読んでいる本
「都市と建築のパブリックスペース」ヘルツベルハー 鹿島
  これはデータ(実例)が多く入っていて参考になる。建築デザインとなるとどうしてもマクロ的にやってしまい勝ちだが、俗に言う「ヒューマンスケール」?のような部分をきちんと見ている。

「建築家の本 まちへ」日刊建築通信新聞社
  「美しい国」と言うスローガンが挙げられたところで行われたシンポジウムをまとめたもので、噛み合わない議論などいろいろあって楽しいと思う。全体としてどう結論が出たかと言うことよりいろいろな考え方が羅列されていて現代建築と都市の問題点(結論ではなくてその前の段階)が浮き彫りにされているのかもしれない。

「都市景観と造形の未来」樋口正一郎 鹿島
  上の2つとは全く違ったアプローチ、造形の問題。リスクを負って出てくる形に注目。

「都市とデザイン」栄久庵憲司 電通
  この本に書かれた内容は割りとオーソドックスで概論で今読むにはちょっとどうなのか?(92年出版)と思わせるものが多いように思う。だが、少し参考になることも無いわけではない。
p158にあるE・T・ホールの「人間距離」から来る、人間がメディアとしての機能を持つと言う考え方はたしかにそうかも知れない。建築的には物理的なものの情報発信能力について良く言われるが、人間が興味を持つのはやはり人間が一番で、ファッションも教育も歴史もその他多くのことは人間を媒介しているのだからそのれを建築物オリエンテッドで考えるだけでは意味はないだろう。空間は許すだけで、そこに人間がいてこそ場として成り立つ、その裏付けとなる考え方とも言えるだろうか。
 (エドワード・T・ホール「かくれた次元」みすず書房 1970)

建築施工学の試験結果

建築施工学の試験結果が来た。
「A」だった。

この課目はレポートの文字数が多いだけでレポートBになっていたから総合成績が9月末にならないとわからない。しかし、とりあえずこの事は記憶から削除。なるようになったはずだから。

8月23日のゼミ



8月23日に大崎ゲートシティのB1アトリウムでゼミ。
東京サテライトが使えない場合にはここは良い。土曜休日なら絶対にテーブルが使えるし飲み物、食べ物も買える。

写真は提出した資料の一部分。
デザインの前にそれを構築する原理を考えている。

計画規模が大きいので、ディテールと全体のスケールの違いによる見せ方(プレゼンの話)、構造の裏付けなど課題は多い。

2008/08/19

コンセプトを言葉に



そろそろ形を考えなくてはならない時期なのだが、思い浮かばない。けれど、頭の中にある事をこうして言葉にしてまとめておくと、たまにポンと何か出てくることがある。

だが、そろそろ手を動かすことも必要だ。


これまでの設計の授業では分からなかったが、みんなはどう言う方法で考えているのだろう?


「都市と建築のパブリックスペース」ヘルツベルハーの建築講義録 鹿島出版会
と言う本を見ているが、想像より19世紀末から20世紀初頭の建築家はクリエイティブな感覚を持っていたことがわかる。現代建築はどうしてもそのあたりを詳細に扱わない傾向にあるのでよく知らなかったが、なかなかすごいと言わざるを得ない。タイトルからは自分のテーマにぴったりだと思われたが、中身の写真が古いものばかりであったから、この本にあまり期待はしなかった。それは間違いだったようで、やはり何事も歴史に学ばねばならないようだ。

バーチャルアーキテクチャー

「バーチャルアーキテクチャー」と言う本が図書館にあったので一通り目を通してみたけれど、さすが東京大学、ネットで全文読めるようだ。

バーチャルアーキテクチャー

この中にはコンペでボツになった建築が多く説明されていたりする。しかしボツでもなかなか考え方が面白いものもあって、逆に現実味から一歩引いているだけにその面白みも大きいのかもしれない。


その本題とは直接関係ないが、青木淳氏の書かれた文章「N市地下横断体」が興味深かった。

要約
近代建築では「意図」と「それに伴う行動」をそれぞれの空間に固定することで成り立っている。できあがった空間はそれぞれ「つなげられるもの」と「つなげるもの」になる。例えば「音楽ホール」と「ホワイエ」のように。これらにはきちんと序列が出来ていて、それを変えることはなかなかできるものではない。しかし、日常の人間の行動はそんなに機能的ではないのに、建築は相変わらず繋げ方を考えている。考え方の上でも空間としても「どん詰まり」なのだ。数少ない例外として挙げているのがコルビュジェの「建築的プロムナード」と言う考え方で、つないでいるものに優位性を持たせている。



こう考えると、現代に至っても建築はまだ広い意味で機能主義のままなのかもしれない。これはこう言う目的のための場所と言うように決まりきったタイプで考えているし、そこまでのアクセスやら動線やらプログラムやらゾーニングのようなやり方は疑われることがない。実感としても建築は機能や制度を固定するもののように思われるものがある。これは建築内部でも、都市や街と言ったレベルでも同じではないか。

例えば、子供が外で遊ぶと言う行為は、家->道->公園と言うシーケンシャルな順位付けの上に成り立っている。それ以外の選択肢はあまり無いので、子供と言えどもその街の流儀に従わざるを得ない。これではパソコンを買ったままの状態で何も変更せずに使わせられるようなもので、冗長性に欠ける。普通に考えてできそうな事しかできないと言うことになって、あまり面白みもないし、実際の人間の行動とは整合性は無いだろう。

ではこの「どん詰まり」にはどう挑戦すれば良いのだろうと思っていたら、同じ文章にこう言う記述がある。「道が人のさまざまな動きを誘うように進化していくことによって、その結果として、「広場」らしいふるまいが生まれるのである。」と広場について言っている。ルイス・カーンの学校についての言葉を思い出すようなセンテンスだ。広場の原初的なものを実現すると言って良いのだろうが、それを実際にどうやって造るかは難しいだろう。「自主的に何かが起こる」空間.......



ところで、コルビュジェが建築的プロムナードで空間と空間の生物学的つながりを提唱しながらも、後に機能主義と評されたのだけれども、ここで同じ事を「それに伴う行動に優位性を与えた」と言われるのも別の意味で面白いと思う。

2008/08/17

敷地の3Dモデル作成


敷地の調査をしてきた。
建物の用途と規模の概略を歩いて調査し、CAD上に詳細でないBOXモデルを置いてみた。厳密には高さがわからないので階高を3.5mとしてそれに階数を乗算してだいたいの高さを求めている。
全ての建物の写真も撮影したが、貼り付けられるほど良く撮影できてはいないので割愛した。

当初GoogleEarthかGoogleローカルの地図を利用しようと考えていたが、Googleのものは使い辛いことがわかったので、国土地理院からダウンロードできる基盤地図情報を用いることにした。(但し、建物のデータはGoogleより少し古いようだ。)




国土地理院のデータはAutoCADですぐに利用可能なファイル形式ではない。同じ国土地理院のアプリケーション「基盤地図情報閲覧コンバートソフト (4.5MB zipファイル)」で必要な場所を表示(スケールも表示させておくと良い)した後に、ラスタデータにコンバートする。そのデータをAutoCADにインポートし、画像のスケールを元に大きさを調整。

AutoCAD上で建物表示の上にポリラインでなぞって、それを"押し出し"ツールでソリッドモデルに変換した。屋根の形が必要な場合は別のソリッド作成ツールで作成して形と向きを整えた。

もしかしたら、ラスタデータをベクターデータ画像に変換しておけばもっと簡単かもしれない。
国土地理院のデータをAutoCAD上で直接変換表示することができるフリーソフトもあったが、最近国土地理院の方がデータの公開の仕方を変えたせいでそれらが使えないことがわかったのでこの方法となった。

質問受付ます。

2008/08/15

GoogleEarthの地図をAutoCADへ


7月31日に「AutoCADのモデルをGoogleEarthへ」と言う記事を書いたが、その逆もできることが判明。
同じ"Google Earth Extension for AutoCAD"と言うツールを使用する。

GoogleEarthで目的の場所を表示させた状態で、Google Earth Extension for AutoCADの4つのアイコンの中の左のアイコンをクリックするとAutoCADの画面に航空写真が取り込まれる。
但し、3Dで表示されているモデルは平面で取り込まれるのが残念。そのまま3Dで取り込まれてくれたらモデル作成の手間が省けるのだが。それに取り込まれる写真がモノクロになってしまう。

これが何に使えるかと言うと、敷地の調査とモデルの配置だ。
GoogleEarthの上ではなぜか航空写真だけで地図表示が無いし、精密に敷地の方向と距離を計測できない。AutoCAD上に画像を取り込むとそれがほぼ可能になるからスタディにはちょうど良いだろうと思う。



注意
この操作をWindowsの制限(管理者でない)ユーザーでやると何故かエラーが出るので、それをすばやく何度もキャンセルすると取り込みが可能になるようだ。管理者でやるとすんなりできるが、危険なのでそれはしない。

2008/08/12

造形Ⅲの課題提出



模型の写真は机の上を片付けて、ダイソーで買ったA1模造紙と有りあわせの100Wランプを愛妻さんに持ってもらって行った。ランプが撮影用でないので写真が全体に夕日をあびたように赤っぽいのはPicasaで修正。

レイアウトはInkscapeで行う。但し、Inkscapeとプリンタドライバとの連携が悪くA3で作成したsvgを2枚に分けてポスター印刷すると1枚目しか印刷されないようだった(せっかくベクター画像で作成してA4プリンタで細かく印刷するなんて人は他にいないだろう)ので、Inkscapeから600dpiのpng画像にエクスポートしてからA4高画質マットペーパー2枚に分割印刷した。

レイアウトはあまり工夫せず、説明的になるように画像を配置した。
背景は敷地図をA3に拡大して使用。平面図に相当する写真だけはまとめて上下に配置し、補足となる写真をその周囲に配置してディテールが分かるようにしている。


模型について
・ロフト部分に1階の廃熱管が通るが、図面ではその1面が引き戸になってしまっている。これはおかしいと思われたのでロフトの和室の引き戸を小さめに変更し、4面とも管路を壁で囲う構造に変更した。
・ロフトから階下を見下ろす引き戸は上半分すりガラスの戸にしておいた。この外側に手摺を付けるべきだと思ったが図面に無いのでそれは作らなかった。
・1階から2階への階段を上がったところの正面に部品図には無い窪みがあったので、昔の家によくある電話を置くスペース(その下は戸の付いた小さな物入れ)を配置しておいた。
・風呂場の床は図面上タイルではなくスノコのようだったが、青いタイル張りに変更した。
・屋根はトタンだと思われたが、トタンのテクスチャが用意できなかったので、板壁のテクスチャを適当に拡大して木目をボカし、色を緑に変更してトタン風に使っておいた。遠目には板と板の隙間がトタンの継ぎ目の起伏に見える。
・1階のテラスは当初バルサで作成したが、他の部分とテクスチャのスケールが合わなく見えたので壁面と同じテクスチャを貼った。ベンチ部分にも焦げた枕木のようなテクスチャを貼った。
・2階リビングの暖炉は形状がわからなかったので適当に単純な形状のものとしたが、組石のテクスチャは貼っておいた。
・家具は詳細模型とせず、スチレンボードで大きさがわかる程度の物とした。
・1階はユーティリティなので壁の内側のテクスチャは省略した。それでもプレゼン模型の目的は果たせるだろう。
・2階とロフトの壁面はリビング部分のみ板張りのテクスチャを貼った。その他の部屋は壁紙が貼られることもあるだろうからあえて白のままとした。床はずべて50cm角板のフローリング仕上げ。
・ロフトの書斎部分の床のみ焦げ茶色の落ち着いた色にしている。
・樹木はダイソーで買った3mで100円のモール状のデコレーションを使用。これは針金が入っていて扱い易い。広葉樹の葉なのでこの建物に合うと思われる。カスミソウにしようと思ったが、たまたま売られていなかったのと、指導書の写真でカスミソウが使われているのと見ると冬のような感じになってしまうからこれでよかったと思う。軽井沢の別荘は冬より夏に多く使うだろう。



郵便料金 45円x2(往復)=90円
プリント出力のため今回はコピー保存せず。


造形Ⅲ

2008/08/09

小さな森の家の模型



造形Ⅲの模型
人物を配してスケール感がわかるようにしてみた。

コメントください。
ここを直した方が良いなど。
詳細写真は完成してから公開予定。(時間がかかるかもしれない。)

2008/08/06

模型用テクスチャの作成方法

建築模型のスチレンボードに貼るテクスチャの作成方法を考えてみた。
(自己流。同じことはCADでもできるが、この方が楽かも知れない。)

使うものはInkscapeだけ。

やり方
1.インターネット上でテクスチャを配布しているサイトから使うテクスチャをダウンロード。

例えば、"NO-N-NO"さんの、「無料添景 FreeData」の中の「テクスチャー」にはたくさん使えそうなものがある。

2.Inkscapeによる作業。

(1)Inkscapeを立ち上げる。デフォルトでA4ペーパー画面が表示される。
(2)"ファイル"->"ドキュメントの設定"で「ドキュメントの設定」窓が開く。
(3)"Grids"タブをクリック->"New"ボタンをクリックすると設定が表示される。
(4)グリッドの単位を"mm"(ミリメートル)に変更。
(5)"X方向の間隔"と"Y方向の間隔"を必要な値に設定する。

下の絵では黒い四角で囲ったのがダウンロードしたテクスチャパーツ1個分。
このパーツでは板が12枚並んでいる。
この板の幅を100mmだとすると全幅は1200mm(1.2m)になる。
模型のスケールを1/50だとすると、24mmにすれば良いから、上記(5)のX方向の間隔は24mmにする。
(Y方向は絵がおかしくならない程度に適当な値に設定。)



(6)"Snap"タブでスナップが有効("Enable snapping")になっていることを確認。
(この窓は閉じて良い。)

(7)Inkscapeにテクスチャの画像を貼り付ける。
"ファイル"->"インポート"でダウンロードしたテクスチャ画像を選択して貼り付ける。

(8)画像をドラッグして移動してスナップポイントのどこか適当な場所に移動。
例えば画像の左上をスナップポイントに合わせる。

(9)画像をクリックすると大きさが変更できるのでグリッドに従った大きさに変更する。
今度は画像の右下をスナップポイントに合わせるように大きさを変更する。
上の例では24mmでスナップされるので画像は24mm角に変更できる。

(10)その画像をコピーして隣に貼り付けながら必要な大きさまで敷き詰める。
(11)名前をつけて保存。

(12)これをプリントした後に切り取ってスチレンボードに貼る。

例は板壁かフローリングだが、畳などでも使える。六畳間や八畳間であれば画像を横にするボタンで畳を横にして組むと良い。
Inkscapeの印刷結果(設定寸法と印刷実寸の比較)はCAD並に正確だった。

2008/08/05

スタディ模型


昨日に続き、模型の練習。

これは以前に作りかけでそのまま放置していたものを少しだけ修正した。
ロフトへの急な階段を5mmのスチレンボードを削って作ってみた。

2008/08/04

ホワイトモデル



造りかけたまま放っておいた造形Ⅲのホワイトモデルを作ってみた。
よく見ると、指示されたページのパーツでは足りないことが判明。階段は仕方ないが、それ以外にも不足するパーツがあったので作って取り付けてみた。1F部分の内部写真も撮影せよとの事であるが、そこには何のパーツも無い。どうしたものだろう?

2008/08/03

石山修武「建築がみる夢」


世田谷美術館で石山修武の「建築がみる夢」を見てきた。

石山氏の建築に比べたら、通常の建築は「物」とか「入れ物」なのだと思う。石山氏の建築は「事」だ。
 
石山氏のは建築より「踊り」と言う分野のものに近いかもしれない。

上空を見上げると「夢」のようなものが浮かんでいる。だが、下を見るとちゃんと足が付いていて地面を歩いている。上空で夢を描きながら、どうにかして建築の足で支えようと考えているのが石山建築ではないだろうか。

2008/08/02

成績表とPALが来た

PALが来た。
奨学金もらった人9人の中に知ってる人が多かった。
みんながんばってるらしい。嬉しいことだ。

Inkscapeのテスト


卒研研究ではA2パネルでプレゼンしなければならないので、どうにかしてA2のボードを描くわけだが、通常は"Illustrator"(イラストレータ)と言う定番ソフトを使うらしい。ただ、これはフリーソフトではないのでアカデミック版(CS3)でも26,000円ほどするらしい。買えない値段ではないが、ちょっと考える。

なぜなら、作ったデータは紙に印刷するだけで、その後他人に渡して再編集されるものではないのだ。と、言うことは、Ilustrator独自の保存形式で保存する事には何も意味が無いわけで、同じようなことができるなら仕様が公開された形式で保存されていても全然かまわないと言うことになる。どうせ最後は紙であるし。


そう言うわけで、Illustratorの代わりに選んだのは、"Inkscape"だ。これならオープンソースのアプリケーションなので無料で使える。


以下からダウンロードできる。
Inkscape
右の"ダウンロード"をクリックして出てきたページかの、Official Release Packagesの下にあるリンクのファイルをダウンロードしてインストール。特に難しいことはなし。

使ってみても、お絵描きツールなので基本操作であればそれほど難しくはなさそうだ。上の絵はCADⅢで描いたパースを下絵に文字と背景色を入れてみたもの。2時間ほど使ってみたらこの程度はできると言う雑なサンプル。元絵は以前にCADⅢのところで見せたものそのまま。

Inkscape参考資料
Inkscapeの使い方
Inkscape@JP

最初はここから始めるのが簡単。
ゼロからはじめるInkscape -マイコミジャーナル

追加
当初の載せた絵は交換されました。