この本は1929年にブエノスアイレスで行われた10回の講演内容(一部付加有り)をまとめた物の下刊である。
この刊で最も興味深いのは、ル・コルビュジエが実際に住宅のプランを作り出すプロセスを公開している点だろう。
・自由な平面構成
・自由な立面構成(ファザード)
・独立した骨格
・水平連続窓、あるいはガラス壁面
・ピロティ(住宅の足)
追加として、
・収納棚で不要家具を排除した内部
ここまでは他の本でも多く取り扱われている部分で、これは新しい技術を取り入れることで実現するもの。「自由」と表現している。石による組積構造よりは格段に自由と言う意味。
この自由を生かすために考慮すべき事
・経済性
・効率性
・無数の現代的機能の実現
・美
そして方法
・分類整理
・寸法決定
・動線
・構成
・比例関係決定
長くなるので詳細は割愛するが、例として実際建築された建物の名前も記されているのでル・コルビュジエの住宅を理解する一助になる内容であると思う。
都市計画の問題についても書かれている。
都市計画自体については別途、参考になる書籍が出版されているが、この刊では都市計画を遂行するにあたっての資金調達など、周辺状況についての考え方に詳しい。つまりは大規模都市計画を発表しても、資金調達に関して出される疑問点についての回等になっている。
まとまった敷地を開発するには資金が必要だ。この疑問に対して、開発することが逆にその土地の価値を高めることになり回収可能であるとの考え方。この考え方は現在では普通になっているが、ル・コルビュジエを原点としたものかどうかは不明。後世に影響を与える考え方であることは確かだろう。
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