先ほどNHKで「世界遺産100」と言う短い番組をやっていた。たまたまテレビを点けていて、寝ようと思ったところにいきなり「アールヌヴォーなんとかかんとか...」と出てきたので見ていたらヴィクトール・オルタの自邸を紹介し始めた。
びっくりした点が2つあった。
1.当時の新素材である鉄とガラスを巧妙に使いこなしていたこと。室内に向かってRを描く窓ガラスに「アメリカガラス」と言う鉄粉入りを用いて室内への光を拡散させている。それに微妙な色使いもよくコーディネートされている。落ち着いた色合いであっても黄色などなかなかうまく合わせるのは難しい色なのに。
2.鉄で作った蔓状の装飾は全て個別に石膏で型をとった鋳物であった。設計する物件によって全て形が違うはずなので型でなくても良さそうなものだが、これは複数作るため型でなくてあの滑らかな形状を実現したいための型なのだろうと想像する。槌で打って削るのでは肌の感じが出ないからだ。鉄も当時は新素材だから少なくとも2つの新素材を使いこなしていたことになる。テクノロジーの面から見ても最先端の応用技術なのかもしれない。
残念ながら、彼が生きているうちにアールヌーヴォーの時代は終わってしまう。これは時代の要求に応えられなかったからだろうが、建築の分野の1つでなくて工芸とか芸術のものであれば生き残っていて良かったのではないか、と思う。
日本でも北澤美術館がたくさんコレクションしていて、ずっと以前に見たことがあるが、それを見た時にこれが建築の流れの中の物だとは思わなかったし想像もできなかった。日本でアールヌヴォー様式の建築に触れる事が無いせいだろうが、どうしても工芸品に見える。
オルタさん間違った認識でどうもすみませんでした。悔い改めます。
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