2008/06/30

建築の長寿命化のための建築計画 その2

建築物の長寿命化のための建築計画について一般項目の検討を行った。

1.建築物の周辺において想定される変化とは

(1)建築物自体の老朽化
(2)環境の変化
 a.要求性能の高度化(量的変化の要求)
 b.要求仕様の変化(質的変化の要求)

2.建築物の長寿命化が目指すもの
建築物の長寿命化はそれ自体のみが目的ではなく、社会の問題としても捉えるべきだろう。

(1)環境負荷の低減
(2)経済性の確保または向上
(3)文化的価値の保存

3.長寿命化のための基本的な考え方
(1)メタボリズム:1960年代のムーブメント
(2)プロセス・プランニング:磯崎新

※計画学的には関係無いことだが、氏が本当に大分県立図書館を拡張するために計画したのかは疑問でる。これ以前のメタボリズムグループによるメガストラクチャー建築も成長する人工地盤として成長する建築を目指していた。造られた建築物も本来その構造の一部分でとしての位置付けであったが、プランニングはどちらかと言えばオープンであったように思われる。つまり、どちらにも成長可能であるが、それは単に「技術的に可能」と言うだけで、実際にその方向性を示す計画にはなっていなかった。実際にはいろいろな条件が邪魔をするし、方向性を示す計画者も存在しないために成長はしない。その事に対するアンチテーゼとしての、つまり建築計画としての言葉ではなく、思想としての言葉"プロセス・プランニング"であったのではないだろうか。

(3)モジュラー・プランニング
(4)オープンシステム(オープン・プランニングとは異なる)
(5)スケルトン・インフィル
スケルトン・インフィルは実際の計画学的手法であるが、供給方法をも示す言葉であることに注意。

実際には、未来に想定される使用者像は架空の標準的な人物になり易いため、個性や特徴ある建築物や独特の魅力を持った空間を永く維持する事も、当初から計画する事も難しい事は課題であろう。

4.手法
(1)建築の新規計画時点で採用すべき計画上の手法
 a.前項の理念を元に計画
 b.LCC(ライフサイクルコスト算定)
運用コストが大きすぎるとコンバージョン等をする以前にスクラップされてしまうので重要。
 c.変更を前提とした工法や構造などの注意点
 ・音と振動
 ・ホコリ等
 ・部材の搬出と搬入
 ・採用する部材や部品
 ・廃棄
 ・工期短縮
 ・図面と履歴の保存
 ・社会的に受け入れられる物である事
変更を行う時点のオーナーや管理者、計画者、工事業者、権利関係、運用形態は全て異なっている可能性があることに注意。
また、変更が部分で行われるか、全体で行うかによっても異なる。

(2)建築後、年数が経過してから実施されると考えられる手法
a.リノベーション
b.コンバージョン
※どんな場合にコンバージョンが行われるか、コンバージョンへのプロセスに注意。

(3)稼動中に継続して行われる手法
維持管理

5.運営



参考資料
「メタボリズム以後 戦後日本建築の軌跡」 マイケル・フランクリン・ロス 日経マグロウヒル
「建築再生の進め方 ストック時代の建築学入門」 松村秀一 市ヶ谷出版社
「サスティナブルハウジング」 清家剛 秋元孝之 東洋経済新報社
「コンバージョンが都市を再生する、地域を変える」 松村秀一 他 日刊建設通信新聞社
「性能時代の建築リノベーション」 JARAC建築耐震設計者連合 日経BP社
「改訂 建築物のライフサイクルコスト」 建設大臣官房官庁営繕部 (財)建築保全センター
「コンバージョン[計画・設計]マニュアル」 松村秀一 エクスナレッジ

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