2008/06/03

木造モダニズム展



竹中工務店東京本店のギャラリーA4(エークワッド)で行われていた「坂倉準三/前川國男/木造モダニズム展」へ行って見た。

建築設計Ⅱ-2の課題に関係のある前川國男の展示は東京建物園にある実物建物内の展示内容とそれほど変わるものでは無かったが、図面やスケッチはちゃんとあった。それに木材でできたスケルトン模型も。

展示のメインは前川國男自邸、坂倉準三の飯箸邸。
飯箸邸は軽井沢にレストランとして移築されたので実物部品とともに詳細な調査も展示されていた。
それ以外は以下のそれほど大きく無い写真パネルの展示。

ライト:旧林愛作邸
堀口捨巳:小出邸(建物園にある。)
藤井厚二:聴竹居
レーモンド:夏の家
土浦亀城:土浦邸
清家清:森博士の家
井上房一+レーモンド:旧井上房一邸
増沢洵:コアのあるH氏のすまい
吉村順三:森の中の家(造形Ⅲの模型課題の建物)
篠原一男:白の家

個々に書物などを調べればこの展示の内容は特に珍しいものではないのだが、これらを並べて共通項を見出すことに意味があると思われるので、興味あれば上記のものをネットで見直すのも良いかと思う。

簡単に言うと、彼ら建築家は近代建築の洗礼を受けたことで日本の伝統建築を一歩引いたところから、ある意味冷静に見られたと考えられる。もちろん外国人はそうに違いないが、日本人の建築家においても、日本の伝統建築の中に近代の要素を見出している。そこに「自由」と言う要素、「幾何学」と言う要素、機能どうしの「有機的つながり」などの近代建築の要素を巧みに加えて再構成しているようである。

単に形から見ると、パーティション、単なる通路となる廊下が極度に少ない、各形状を幾何学で捉え直していること、窓の大きさが自由と言う共通点があることに気付いた。

近代を学んだからと言って全てを西洋のやり方に変えてしまうような、所謂日本人が好きな西洋カブレにはならなかったらしい。そして、新しい建築を日本の伝統建築の後に繋げようとしていたようにさへ感じららる。それだけ日本人としてのアイデンティティを重く感じていたからなのか、それとも近代建築のパイオニアとしての責任感であるのか、それとも他の事情なのかまでは別に調査せねばわからない。

これが現在の我々だったらもっと軽く西洋風をコピーしてしまうだろうし、そこに日本の伝統を残すとなれば単に畳敷きの部屋を挿入する程度だろうか、などとも考えてしまった。今の我々ならそれを「残す」だけであって何の責任も感じずにそれっぽい何かを造ってしまうところだろうか。それが近代建築の自由ではないと巨匠達は言うであろうけれども。

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