2007/06/30

人体の熱収支と温熱環境指標

建築環境工学のレポートの課題の2つ目を書いてみた。

課題は光、音、熱のうちから2つ選んで書けば良いことになっていて、最初に光を選んだのだが、この光は大変だった。テキストを前から順に読むと、普通は小説のように各セクションが論理的に繋がっている事を想定した読み進めてしまうのだけれど、そうなってはいなくてバラバラに知識が散りばめてあると言った印象なのだ。思わず「書き直せ!」と言ってやりたくなる。こう言った分野には、著者の主張とか観点を入れられる余地が少ないと感じているのだろうか。

そんな事が我らのレポートのストーリーを作り難くしているなあと思う。



「人体の熱収支と温熱環境指標」
人間が空間を快適と思う条件の一つに「暑さ寒さの感覚」がありますが、この感覚は単に物理的な熱や温度の条件を指すのではなくて人間の感じる「快適さ」を指標とする熱の条件の事。だからレポートでは物理的な熱収支から温熱環境指標を導き出すような書き方を考えてみた。

1.物理的および生理的要素
人間と周辺環境の間における熱の収支概要モデルは、テキストにも参考書にもある図なのだが、どれもちょっとづつ違う。熱の平衡状態を想定して蓄熱分を絵に入れていない簡単なものとテキストにあるように着衣量まで描いたもの。どれも同じなので簡単なのを描きなおして入れようかと思ったが、レポートを書くうちに割愛した部分の説明が必要になってくるので少し複雑な絵になってしまった。

でも説明は極力簡単にする。なぜなら自分がわからないから。
人間は通常状態では周辺環境と熱的に平衡を保っている。このバランスが崩れた状態が暑いとか寒いになる。
M>C+R+E+L →放熱不足、熱流入過多→暑い
M<C+R+E+L →放熱過多、熱流入不測→寒い

熱の出入りに関係するパラメータはこんな感じだ。
○周辺環境要因
   室内気温(乾球温度)
   室内相対湿度(水蒸気分圧)
   室内気流(気流速度)
   輻射(周壁平均放射温度)
○人体要因(テキストにはもう一つ「ぬれ面積比率」が出ているがこれは後の指標計算にも使わないし、他の資料には内。多分他の要因から計算できるものだろうと推測して割愛した。)
   代謝
   着衣量


人間の身体はこれらの各要因からくる熱収支の状態に応じた生理的反応を起こして熱的平衡を保とうとする。これは血流、身体の震え、発汗、産熱を増加させるなどだ。分かりやすくするためにだいたいどの条件でどんな反応をするか絵を描いてみた。
※2のP64とか、※3のP124などが参考になる。

注意しなければならないのは、ここで熱収支が平衡しているからと言って、それがイコール「快適」と言うわけではないと言うこと。では快適な領域をもっと具体的に示すとどうなるか、と言うのが次だ。


2.温熱環境指標と快適さ
人間が快適かどうかを判断する基準を等価と思われる数値で表したものが「温熱環境指標」と言う。これはいくつか提案されていて一長一短がある。テキストにもだいたい書かれている。


3.PMVによる模擬計算例
吉村美香氏によるエクセル版PMV計算シート※4を使用して模擬的にPMVを求めてみた。

課題にクールビズがどうの、と書かれていたのでこれを使ってその効果を確かめてみた。
スーツでの事務作業ではエアコン23.5℃に対してクールビズだと26.0℃で同じ快適さを得られると計算結果が出た。残念ながら、しばらくYシャツ着て仕事などしたことがないのでYシャツが無い。よって実感レポートはできなかった。

他にもう一つ状況を考えて計算してみた。これは何かストーリーを考えてやってみると面白いと思う。風が強い日にカバンに入れて持っていく上着は何が良いかとか。これはサッカー観戦でスタジアムに到着したら気温は同じだけれど風が強い場合に着衣量をいくつに変更したらPMVが0.5以内に収まるか、としたらできるかもしれない。これは楽しめる。


※1「最新 建築環境工学 改訂2版」 田中俊六 他  井上書院
※2「図説テキスト 建築環境工学」   加藤伸介 他  彰国社
※3「初学者の建築講座 建築環境工学」 倉渕隆  市ヶ谷出版社
※4「エクセル版PMV算出シート」吉永美香 (名城大学 理工学部建築学科 講師)

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