建築史のルネッサンス建築に関連してローマ時代の建築家「ヴィトルヴィウス」が登場します。ルネッサンスの建築家たちはヴィトルヴィウスの建築書を発見してその様式を研究したとの事。
そこで東海大学出版会から出ている「ウィトルーウィウス建築書」(ウィトルーウィウスはヴィトルヴィウスの別発音)と言う本をザッと斜め読みしてみた。原書は10書から成っているところを、本書では1冊にまとめている。
第一書
建築家の備えるべき教養とその理由。
諸技術(学問)の特質。
第二書
材料について。
その特質と工事の方法。
第三書
イオーニア式神殿における比例と配置、基礎など。
(ギリシア建築の様式研究)
第四書
ドーリス式、コリントゥス式とその成立に関する考察。
神殿の平面計画など。
第五書
公共の建築の平面計画。
劇場と音響、浴場など。
第六書
私人の住家のつくり方とシュムメトリア(比例関係)。
視覚による加減。住宅の間取、方位、基礎。
第七書
仕上げ。壁画。
第八書
水。井戸や水道。
第九書
日時計と時計。天文学。
第十書
機械。
荷揚げ器、水揚げ器、水力オルガン、武器。
ヴィトルヴィウスはギリシアの建築を範として書いているようである。
住居における平面計画などを見ても、ギリシアとローマの生活習慣の違いから来る平面計画の違いを認めてはいるが、機能毎に厳格に間取り分けすると言った基本的考え方は共通するものとして書いている。また、身分や商売による住居の違いについても述べているがその計画方法にはどれも比例関係を用いている。比例関係(シュムメトリア)が普遍の法則として考えられている事を示すと思われる。
147ページ第六書の中にヴィトルヴィウスの人となりを示す記述がある。
「このわたくしは技術から得らるべき金銭に勤勉を売り渡すのでなく、悪評を伴った富裕よりもむしろ良い評判を伴った貧乏を良しとしました。(中略)わたくしには、頼んでする仕事でなく頼まれてする仕事を採り上ぐべきであると、先師から伝えられています。...」そしてこの本が全ての人にとって有用となるように建築の全般ならびにその理法を書きまとめると書いています。
「ウィトルーウィウス 建築書」森田慶一訳註 東海選書 東海大学出版会(1979)
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