秋葉原に次いで、駅前の路上ライブを取材してきた。
(1)2mの壁
ライブ演奏者と観客の間には2mの壁がある。これは秋葉原アイドルには無い距離だ。
この2mの壁が作られる原因らしきものは、演奏者の習性にあるように思う。
演奏者は無意識に自分がステージに居て歌っているような立ち方をする。
必ず、壁や木や人の通らない閉じた空間を背にして立つ。横か後ろには楽器のケースや荷物を置いていて、簡易楽屋のようになっている。告知用看板がある場合には自分の前に置く。
そして話し方。それほど多くない観客にであっても、たくさんの不特定多数の観客がいるように話しをする。例えば、リクエストを受け付けてそれを歌った時にでも、その人のために歌うのではなく(仮想)客席にいる多数に向けて歌い、終わった後の話しも同じようだ。
つまり、どうしてもそこには一定の距離がある。ステージのように段差も何も無いのに、それがあるように振舞う。観客は多分、それに従っているのだと思われる。
(2)プロトタイプ
このようにして人前で演奏するスタイルは、今日見た5組とも同じであった。どの演奏者にも2mの壁は存在していた。どうも、人前での演奏と言う行為のプロトタイプがあるように思う。それはプロがそれをやっているのをテレビや実際のステージなどで見ているからかも知れない。
(3)2mの壁を崩した瞬間
今日見た中で、2mの壁を崩した演奏者が1人いた。それは歌っている時ではなく、CDを買ってもらってサインをしていた時だった。彼はサインをしながらいろいろと話をした。その内容は「ありがとう」とかそう言った一般的なものではなくてもっと普通の会話に近いものだった。1人のお客に話していると、CDを買わない客が5~6人近づいてきて、会話に参加し始めた。1曲歌っている時間よりも会話の方が長かったかもしれない。そこで雰囲気は全く変わって、ステージと客席ではなくなっていた。これは秋葉原アイドルのやり方と同じようだ。2mが50cmまで縮まった瞬間だった。
こうなると、人と人を近づけるには、その人のスキルが重要と言うことになってしまう。建築にそれができるかだが、それが必要かと言う事も含めてここでまた少し考えよう。
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