2007/08/22

フランク・ロイド・ライトも難しい

哲学者ルイス・カーンに続いて文学者フランク・ロイド・ライトも分かり難い。

参考資料
「ライトの遺言」フランク・ロイド・ライト 彰国社
「建築について(上)(下)」フランク・ロイド・ライト 鹿島出版会

建築家の作品を誰か別の人が解説しているのを読む事もできるのだが、書かれた時代によって解釈がまちまちであるし偏りもあり、あまりあてにできない事も経験済み。特に建築家の書く巨匠本は語彙が詩的な場合が多くて普通の日本語として読めないものも多い。なので今回も本人の文章から入る事にした。

しかし残念ながら、結局、分かり難いのは同じであった。
フランク・ロイド・ライトは文学者であった。何について言っているかわからない比喩が多すぎる。比喩の多くはボザール批判らしいのだが、これはその時の状況を先に知ってからでないと理解し難い。しかし、そんな比喩表現の多いところはだいたいボザール批判なので真面目に隅から隅まで読む必要はないだろう。同じ批判発言が何度も出てくるだけだから。

フランク・ロイド・ライトの建築を要約すると以下のようになる。
1.建築は内部から
2.有機的であるべき
3.単純
4.民主主義


1.建築は内部から
これは2通りの意味があるようだ。
a.人間の魂の内部から出る自由による建築
b.人間の生活する内部空間から出来る建築
bはあまり使われていないが、aは「あらゆる原因結果の内部的要因」のように強調している。


2.有機的であるべき
他の建築家の言葉の中にもよく出てくる「有機的」であるが、フランク・ロイド・ライトの使用が最初なのだろうか? 文学的な使われ方で定義がはっきりしないのがとても困る。(等と書くと建築を勉強されている方々からお叱りを受けるだろう。)

フランク・ロイド・ライトの場合にはまだ明確に「自然の摂理」を意味していて、他の建築家の文章にあるように単なる「こっちの空間とあっちの空間の密接な関係」と言うようなものでは無い。

またこれは、1の内部的要因とも関連していて自然の摂理が生粋、真実、発端のようなものと言っている。であれば建築は有機的であるのは自然な事なのだ。もちろん全体の中の部分、完全性と言う(実際の自然から離れた)抽象的な意味も含む。


3.単純
日本の版画を引き合いに出して「単純さの福音を説いた」と言っている。作品そのものの中に表現された有機的な完全性こそが「美の法則」とした。花を見て美しいと感じ、その模造品を作るのではなく、「様式化」によって美の根本を表現することである。


4.民主主義
人間の自由はその内より得られるものである。人間の自然なあり方としての民主主義。建築は自由に開放的にデザインされるものである。(人間的自然)
これはアンチ-アカデミックとしても説明されるが、フランク・ロイド・ライトの生きた時代の事を考えれば当然であろう。建築に「民主主義」と言う言葉が使われるのは現代日本から見れば驚きである。


その他
フランク・ロイド・ライトの活躍したのは1800年代後半から1900年代中頃と広く、その建築の見た目もかなり違っているように思う。特定のスタイルは重要でなく、その根本が大切であるとの部分で一貫しているのだろうと思われる。(簡単すぎるまとめである。)

8月26日に実際のフランク・ロイド・ライトの建築を見てみる予定。

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