2007/08/17

ルイス・カーンが見えてきた

ルイス・カーンは分かり難い。

「ルイス・カーン建築論集」を読んだ。
1章から10章まであるが、どの章も同じ事が書かれている。これなら1章だけ読めばそれで済みそうなものだが、巨匠の言葉だけに本を編集するにあたって捨てるのはもったいないと思ったのか、同じ言葉がお経のように繰返し載せられている。本当にほとんどコピーかと思う位に同じ繰返しで、読んでいると間違えて前に読んだページをまためくってしまったと錯覚してしまうほどだ。

内容はルイス・カーンの哲学そのものだ。
空間の構成方法やら何やらの具体的な事は全く言われていない。一見、言葉がその建築作品の具体的な形の裏付けになっている感じが全くしない。難解なのである。

しかし、門前の小僧もお経をずっと聞かされ続けるとある時ふっと「悟り」の端っこをほんの少しだけ感じる時が来るものらしい。あの訳の分かったような分からないようなルイス・カーンの作品写真集が意味を持って見えてくる。あのトレーラー車から下ろされた大きな木箱のような家らしき物が家に見えてくるのだ。

不思議なものである。
お経の効果は確かにあるようだ。


「ルイス・カーン建築論集」ルイス・カーン 鹿島出版会

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