2008/05/29

レモン展 その2

簡単に他で書いたものを再録。

展示と講評と両方見せていただいたが、ASUのスクーリングの方がずっと内容は濃いように感じた。やはり社会人経験ある人が多いからなのかと思うが、着眼点や建築の解決方法においてASUの皆さんの方が深みがあると感じた。しかし中には志とアイデアの良いものもあった。



1枚目の写真はTSUBAKIと言って、幼稚園とデイケアの複合施設。お年寄りと子供が自然に出会える施設で、とても志が高くて好感が持てた。ただ、お年寄りの"日常"と言う言葉を使っているのだが、お年寄りがどんな気持ちでここに通ってくるか、デイケアがお年寄りのためにあるのかそれとも家族のためにあるのかと言ったような部分までは検討されておらず、デイケア有りきから発想してるのが残念に思う。だから形が面白いのであるが説得力に欠けるように感じる。



2枚目は視覚障害者のための施設で、これも志が高いしアイデアも良い。
模型だけでなくて視覚障害者の方々にインタビューもし、1/1で実際に使える点字ブロックのようなものも作って検証した力作。ただ、これも視覚障害者と健常者の両方が使える施設と言うだけで、施設に組んだ時の具体性が無い感じがする。どちらも使えるけどそれはデバイスのアイデアが良いからで、どう交流するのかなどがわからない。これを使用して街全体をバリアフリー化しても良いようなものだと思ったが、この施設だけにまとめた理由が少し薄いと感じる。



3枚目は私が一番好きな作品。模型よりこの絵の方がわかり易いかと思うのでこの図を載せておく。
屋根の尖ったところに個人や家族などが住んでいて、ピロティにはその人たちが他人と共有して良いと思う家の機能を下ろしてきていると言う設定。新しい人間関係を模索する集合住宅と言えるもので、発想が面白い。しかし、ちょっと奇妙なことに、この作者は「再開発」からこれを発想している。集合住宅で止めておいても充分に良いと思うものだが、再開発が絡んでしまているからちょっと問題が大きすぎて焦点があいまいになってしまっているように思われる。「再開発」と言う言葉の社会的意味とか「家族」とか「個人」とか、そういった言葉を問い直さずに記号的に使ってしまっている故にファンタジーに終わっている印象が拭えない。家族は何年かしたら構成などが変わるものだが、この集合住宅がそのときどう変更できるのだろうなどいろいろ考えたりすると心配になる。


全体的に世の中にある単語をそのまま使って再構成しているだけのものが多く、あまり個性を感じないものが多いように思った。約70作品あったが、自分は保存や再生と言った時間軸方向を考えた作品が多いようであったが、レモン賞の10作品はそう言うのは全然選ばれなくて、空間構成を考えたものばかりだった。

それと模型は全体にあまり上手くはないようであった。パネルの文字が小さくて全然読めない物もたくさんあったし、一見してわからない展示も多かったようだ。見せ方よりコンセプトが重要なのかもしれない。

そんなわけで、ASUの授業はけっこう良いのかなあと思って帰ってきた。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんばんは
初レポートが帰ってきて評価がAで喜んでます。
模型をつくってないので、レモン展に行って模型の凄さに驚きでしたが・・・

字が小さくて読みにくかったのが多かったですね。

テーマや発想の言葉に頼って作品を作るのではなく、それがどのように絡んで広がりをもって建築として成り立つのかという深い所まで考えなければなのですね


材料学のブログをみたのですが、賃貸でも仕上表など設計図は見ることできるのですか?

レポート書くのにどうしようかと悩んでます。

orang-u さんのコメント...

Aおめでとうございます。
何の課目ですか?

賃貸では大家さんとか管理会社とかに頼んでみるしかないのかな?

でも畳を上げて覗くとか、壁に画鋲を刺してみるとか、叩いて音を確かめて見るとか工夫してやってみたらよほど特殊な材料を使っていない限りだいたい参考書にある物でできていると思いますよ。

あとは、作ったのが大手の住宅メーカーとか建設会社なら使ってる材料はどれも似たようなものですから資料を貰いに行って見るのはいかがでしょう。

レポート出すときには各部分の材質を確かめるだけじゃなくて写真を撮っておくと使えますよ。どことどこが同じ壁紙と言うだけでも記録になりますから。

材料学は細かく調べて、何故そこにその材料が使われているかを検討すればけっこうレポートになりそうです。