黒川紀章の資料に選んだ「黒川紀章ノート」が厚い本でなかなか読み終われない。
この本は1994年に発刊されたもので、それまで三十数年間の黒川紀章の思索の経緯が綴られている。本人がそれについて書いているので読み方によっては自己顕示欲の産物のようでもあるが、時代によって考えた事はその都度ユニークである。そこに使われる言葉も所謂(いわゆる)建築用語ではなくて、黒川用語であり、その定義まできちんと説明している。だから一般の建築評論における文章と違って読み易い。ありがたいことだ。
日本の伝統についての見方もよく研究された成果と言ってよく、よくある伝統構法の部分的な特徴を西洋のそれと比較して「こうだ」と断言するような議論とは随分と異なる。大学院の時代からこうだったのでは嫉妬深い人々からはさぞ煙たがられたのではないかと想像できる。
まだ全て読み終わってはいないがこの現代建築論以外に、建築設計Ⅰ-2の課題のヒントもここにありそうな気がしてきた。
参考資料
「黒川紀章ノート 思索と創造の軌跡」黒川紀章 同文書院
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