2008/01/18

「イスラーム世界の都市空間」より



イスラム建築と都市についての予備知識のために「イスラーム世界の都市空間」(科目概要に掲載されている参考書)をざっと読んでみた。 (本書はアジア地区についての調査報告が無いため、前半部分の都市総論的な部分だけ目を通し、後半の各都市については読んでいない。)

内容に触れる前に、この文献のうちの幾つかは(筆者によっては)読みにくい文章が多いと感じる。さすがに建築関係者が書いているだけあって「みごとな」「ダイナミックな」などの何を指すかわからない形容詞が使われている文章が各所に入っていて、これが学術的意味をもってまとめられた文章なのかと疑いたくなるものである。


簡単なイスラーム都市のまとめ
(但し、どのイスラム圏の都市にも当てはめられるものではない。あくまでも一般論。)

特徴
1.コスモロジー(宇宙観)と都市構造が結びつかない。
ヒンドゥー教建築ではそれを統合しようとし、中国建築には風水があるが、イスラムにはそう言う意図が働かない。現実的な構成をとる。

2.中央のマスジッドを中心とした商業都市となっている。外来者が広い通路を通じて中央部の商業域までアクセスし易い。

3.商業域以外の住居域の通路は2級、3級、袋小路のようなヒエラルキーがあり、プライベートな都市領域となっていて、公的な都市領域とは2分されている。

4.ギブラと呼ばれる軸線がある。これはメッカの方向を向く。(厳密でない場合が多い。)

アジア地区のイスラム都市や建築にこの法則がどれだけ適用されているかはわかならい。


個々の建築について
5.イスラム教では建築の様式に無頓着である。現在の外の世界の我々がイスラム様式のように見るものは、実はイスラム教と関係あるとは言えず地域性、歴史の中で発生してきた構法を採用しているだけと考えられるも
のが多いことに注意。


参考資料
「イスラーム世界の都市空間」陣内秀信・新井勇治 法政大学出版会

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