2009/08/02

パーツがまる見え


ツインタワーのあるKLCC北側にある、Jalan Ampang と Jalang Yap Kwan Seng の交差点にあるこの建物はオーストラリア大使館である。日曜日の大使館にはもちろん入れないから外からながめるしかないが、L字型のこの建物はその全体を皮で包んで仕上げると言う発想で造られることはなかったようだ。なので中身がよく見える。だが見えたところでそれが何を示しているかまではわからない。何らかの建築計画的な階層があって、それがこの形に現れているのだろうとまでは想像できるのだが。

ピカピカで目立つ外観の高層ビルの多い現在のKL市内の景観にあっては、この形も色もそして小ささのどれもがこの建物の何たるかをアピールするには至らないように感じられる。中低層の建物が大きく茂った木々の中に埋もれるように置かれていた10年か15年前であればこの建物の外観はそれなりの魅力を放っていたのではないかと想像するが、果たしてこの建物はいつ頃建てられたものなのだろう。ライトがプレーリー地帯に建てた家と同じように、この建物もこの熱帯都市にぴったりだった時代があるのだろうか。想像するしか無いのだけれど。


以前に見たスカイハウス(菊竹清訓:東京都文京区)もビルの谷間に埋もれたようにあったのを思い出した。テキストに出ていた菊竹氏のスケッチからはもっとながめの良い高台の庵のようなものを想像したのだが、実際には埋もれた状態となってしまっていてびっくりした。時代の流れは誰にとっても読みにくいものだと思う。

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