2009/06/09

Ultimate Contextualism ?


この建物は........と書き始めたが、"この"ではないのだと気付いた。"これらの"建物と言い直す必要があるからである。

つまり1つの建築物に見えるこれらは、実はたくさんの建物の集合体なのだ。隣り合う建物どうしの隙間が無いために一体に見えるが、これは知る限り東南アジアでも台湾もそうなのであるが隣接する建物との間の壁面は共有するのが当たり前と言う習慣によるものである。(この中の一軒のみが建て替える場合にどうするかとか、壁の所有権については説明すると長くなるのでここでは割愛する。)

スカイラインがギザギザなのはこれらの建っている敷地が傾斜しているところに個々に建築されたためであって、デザインされたものではない。しかも道路のカーブに沿って立面が湾曲してもいる。彩色がなされている部分は隣接する別々の建物を1つのものとして借用しているか購入した結果である。2軒分の1階部分を接続して、つまり壁を取り除いてしまっている建物もある。

さらに面白いのは、よく見ると1階の上のペデストリアンデッキ(と呼んで良いかどうかわからないが)が階段状に全て接続されていることである。


こうして別々の所有者が隣り合う建物に合わせて接続するように建築していくと言うのは、きっと何らかの暗黙のシステム、と言うより了解によるものではないだろうか。そして出来上がった建築物は地面のウネリにも道路のクネリにも隣接する建物の意匠やサイズにもよく適応する。もしかしたらこの地の人間関係に関係するものなのか、とも思わせる。

あえて建築の言葉を使って言ってみるならば、これぞ究極のコンテクスト主義とは言えまいか。

また、こうした方法論で建築物が膨張しやがて都市を構成すると想像するならば、どんな都市が出来上がるのであろうか。コアの無いそしてコンダクターの居ないメタボリズム? それとも九龍城? ここに何を見るかによってその答えは大きく違うものとなるだろう。




この場所はクアラルンプールにある Changkat Bukit Bintang と言う通りの Confort Inn と言う安宿のある部分。

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