新ブログ「もんく+a : reloaded」へ移行し、建築仲間Team OBASUの活動記録を投稿します。
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(2021年~)
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コンテンツ概要
2009~2013年:建築物と建築についての雑記です。
2007~2009年:大学の課題に関するノートです。
2009/06/21
敷地境界
昨日、ホテルの部屋を1階から2階に移ったおかげで面白い光景を観察できるようになった。
この写真の中央上に見えるものは、柱ではなくて壁の端面(約120mm)である。壁の端面から写真右下に向かって細く切られたタイルは若干傾斜している。
この個人経営の小規模ホテルの住所は、"173&175 Jalan Imbi........" となっていて、2つの番地の2つの敷地にまたがっている。ただ、1階から入るとそこは広いロビーになっていて2つの建物が繋がったものだとはとても思えない。ロビーは2つの建物の壁を完全に取り去っているからだ。だから最初ホテルのビジネスカードを見たときに"173&175"の意味がわからなかった。
2階ではこの段差によって、これがかろうじて観察できる。共有壁面に穴を開けて通路を通したのだ。こちらマレーシアではよくあるものだとしても日本ではほとんど見られない珍しい光景だろう。
これを見て、いくつかの疑問が沸いてきた。
(1)元々壁面を共有していたとは言え、段差がこれだけ少なくて済んだのは何故か。寸法のモジュールがあるのか、それとも使用される材料にそれがあるのか、または偶然か?
(2)梁はどうやって取り付けられているのだろうか? 鉄筋コンクリート(ラーメン)の建物でどちらか片方が先に建設されるとなると、隣接する後から建設する方は既に有る柱にどうやって梁を取り付けるのだろうか? 柱と梁の鉄筋は接続されていないのだろうか? 梁を壁に(この建物は壁構造ではないが、壁はコンクリートブロックか煉瓦が閉じ込められたものと思われる。)持たせるのか?
(3)壁面を共有する一連の建物(このホテルはその両端を別の建物と壁面共有している。)が、例えば東側から順に作られるのであれば割合平和に連続できるが、適当な位置から好き勝手に建てられる可能性も高いので、そうした時に最後に建てられる建物は柱ピッチが左右で違うはずだが、その時の梁はやはり斜めに通されるのだろうか。
そんな疑問は日本しか知らないから出てくるのであって、こちらの大工にとっては日常の些細な事なのだろうと想像する。こう言う状態を我々が"イイカゲン"ととるか、見えないあるシステムの産物と考えるかどちらなのだろう? これが我々を何かから自由にするか、それともその反対か、と言ったような事も考えてから結論を出すべきではないだろうか。
2009/06/18
Suki ?
ジャラン・スルタン・イスマイルとジャラン・P・ラムリの交差点、林立する高層オフィスビルに埋もれるように建っているこの不思議な形の建物は、レストラン・サングリア・アイランドの看板がかかっている。昼間の間は内部が薄暗く夜間の準備のために何か準備をしているらしき人影が動いている。
この建物は他のどんな建物とも違う外観で、どこから着想を得てデザインされたのかが全く想像ができない。以前に少し調べたマレーの伝統的家屋の発展形でもないようである。
解明のヒントになるは向かって左端の赤と白のシマシマだ。その赤の部分は赤いフィルムを貼ったのか、赤いPVCかの窓になっていて、中身は螺旋階段になっている。その螺旋階段はきれいな円形ではなく、いったいどうやって図面を描いたのだろうかと考えてしまうような不整形の渦を巻いている。
階段室の壁はその階段に沿って壁が設けられていてやはり変な形のまま外形を成している。
そう言う方法でこの建物の外形は決定されているようなのだ。つまりこの建物の外形は内部の空間によって決められているのであるらしい。その意味ではこのずんぐりとしたよく分からない建物は立派にモダンの方法論でデザインされているとも言えるし、数奇のような考え方で発想されたとも言えるのかもしれない。もしくは単なる遊び心かわがままか?
この建物の中から持ち主はこの街をどのように見て暮らしているのだろうか?
2009/06/13
Hotel Maya only for guests
ペトロナス・ツインタワーを出てジャラン・アンパン(アンパン通り)を西に歩く。
ほどなく通りの北側にHotel Mayaが現れる。
だが、宿泊を目的としない者にとってその建物は特に注意を引くものではない。
白く四角いだけの大きな建物、それほど大きくもない車回し、側面には田の字を並べたかのような多くの黒窓。注意してみなければその程度だ。
あえて注意してみると、側面の中央下に建物全体の意匠とは似つかわしく無いトゲのような何かがほんの少しだけ見えている。不思議に思って正面エントランスの暗いガラス扉から入っていって中を覗いてみると驚きの光景がそこにあった。
内部から見れば、この建物が通常の四角い箱ではないとすぐに分かる。この写真のような人工樹木が左右2列をなして生えていて、客室はその真上にやはり2列に並んでいる。と言うことは中間部は全て吹き抜けである。吹き抜けの上部には半透明の屋根がかかっている。
人工樹木はよく見れば客室の床までは伸びてはいない。空中に浮き上がった客室棟を直接に支えているのは幹ではなく枝だった。人工樹木と客室棟の隙間の空中には素朴な樹上露台が置かれていたりと空間構成上の工夫がふんだんに盛り込まれていて、それはもう別世界と言って良いほどのものを創り出している。
全てはこのホテルを選んだゲストだけのための空間であり、言わば"隠れ家"を提供しようとの意図があるのではなかろうか。旅はそれがどんな旅であっても多少冒険の要素があるものだが、こうしたホテルを選ぶことができたならその気分は大きく増幅されるものとなろう。
※不親切にも内部の写真は掲載しない。なぜならそれは宿泊客だけのものだから。
2009/06/12
ARCHIDEX09 建築エキジビジョン@KL
建築、インテリアデザイン、建設のエキジビジョンが7月2〜5日に、ツインタワーの敷地内にあるエキジビジョンセンターで行われる。一般向けに公開される日は4〜5日となっている。これに参加しようと考えている。
ARCHIDEX09
ARCHIDEX09
2009/06/10
BB Plaza The Big !
この建物のベストショットを撮ろうとして周囲を歩き回っても、それは無駄だと思い知るだけだ。一番良いのはこうして航空写真を借用してくることだと思われる。
紹介しよう。この建物の名はBukitBintangPlaza(ブキット・ビンタン・プラザ)、通称BBPlazaと言うショッピングモール、写真では赤で囲った部分全部がそれだ。
この建物は実は2つの建物が繋がったものなのではないかとも言われているが、周囲の壁面にはそれらしき分割線が見当たらないので1つとしておいてもよいのではないかと思う。中に入ってみればなおさら1つのようにしか見えない。
写真に撮れない建物をどうしてここでとりあげるかと言うと、それは航空写真を見ての通り、"デカいから" の一言に尽きる。
六本木ヒルズの全敷地の2/3を全て建物で埋め尽くしたと言ったらわかりやすいだろうか。階層は多分5か6の中層。だが実は傾斜地に建っているのとその複雑さでよくはわからない。そして中にはデパートが2つも収納されている。その全部を合わせても全床面積の1/4も使ってはいないだろう。その他は個人経営をはじめとしたテナントとそれ以外にほとんど屋台のようなものが無数に入っている。その総数は誰にもカウント不可能に違いない。また屋上と地下には巨大な駐車場まで備えている。
そのデカい建物がその内部のどこもヒンヤリ感じられ、しかもこれほど混雑しているのに息苦しくもないほどみごとに空調されている。そこには大きさとともに巨大なパワーさえ想像されるのである。
通常、建築物はその機能と造形とそこを使う人の関係性などによって論じられるのであるが、このバカが付くほどの"デカさ"はそうした建築のリージョナルな議論を全く無視して成立させてしまう、一種のパワーなのではないかとこのBBPlazaによって感じさせるのである。
建築学科の学生の卒業製作でこれを提出したら絶対に不合格になりそうなこの建物、いったい何がしたかったのだろうか。その答えは敷地面積の拡大と言う単純な発想ではなかろうか。
さて、これに一番似た建築を思い起こしてみる。
.........ドミノシステム、意外かも知れないが、これが一番近いように思われる。
柱に支えられる床、そしてどのようにも自由に使える内部。コルビュジェのドミノシステムを広い敷地面積いっぱいまで拡大して造る。中身は屋台だろうが商店だろうがマネーチェンジャーの閉じたブースであろうがその他食堂、スーパーマーケット、イベント会場でも何でも商業ビルとして考えられるものは何でも入れられる。そこに外皮を被せて出来上がり。
あまりに広すぎて内部の機能と外皮はほとんど何の関係も持たなくなる。であれば外観デザインがどうのと気にしてデザインなどする必要は全くない。単に囲えばそれで済む。外を歩く人間から見てもあまりに巨大で全体を把握しようとすら思えないほどであるからなおさらである。単にこの街の延長となる部分が何倍かに増幅されてそこにあれば、それで良いのである。
巨大とはそう言うものなのである。建築であるのか都市であるのか、はたまたその中間なのか。ただ"デカい"、そう言う視点から建築を捉えなおしてみるのも面白いかもしれない。
※BBPlazaはやはり2つに分かれていて、南側半分はSungeiWangPlazaと言う建物になっている。よく見ると切れ目はあるが、私のようなKL初心者には難しい。
2009/06/09
Ultimate Contextualism ?
この建物は........と書き始めたが、"この"ではないのだと気付いた。"これらの"建物と言い直す必要があるからである。
つまり1つの建築物に見えるこれらは、実はたくさんの建物の集合体なのだ。隣り合う建物どうしの隙間が無いために一体に見えるが、これは知る限り東南アジアでも台湾もそうなのであるが隣接する建物との間の壁面は共有するのが当たり前と言う習慣によるものである。(この中の一軒のみが建て替える場合にどうするかとか、壁の所有権については説明すると長くなるのでここでは割愛する。)
スカイラインがギザギザなのはこれらの建っている敷地が傾斜しているところに個々に建築されたためであって、デザインされたものではない。しかも道路のカーブに沿って立面が湾曲してもいる。彩色がなされている部分は隣接する別々の建物を1つのものとして借用しているか購入した結果である。2軒分の1階部分を接続して、つまり壁を取り除いてしまっている建物もある。
さらに面白いのは、よく見ると1階の上のペデストリアンデッキ(と呼んで良いかどうかわからないが)が階段状に全て接続されていることである。
こうして別々の所有者が隣り合う建物に合わせて接続するように建築していくと言うのは、きっと何らかの暗黙のシステム、と言うより了解によるものではないだろうか。そして出来上がった建築物は地面のウネリにも道路のクネリにも隣接する建物の意匠やサイズにもよく適応する。もしかしたらこの地の人間関係に関係するものなのか、とも思わせる。
あえて建築の言葉を使って言ってみるならば、これぞ究極のコンテクスト主義とは言えまいか。
また、こうした方法論で建築物が膨張しやがて都市を構成すると想像するならば、どんな都市が出来上がるのであろうか。コアの無いそしてコンダクターの居ないメタボリズム? それとも九龍城? ここに何を見るかによってその答えは大きく違うものとなるだろう。
この場所はクアラルンプールにある Changkat Bukit Bintang と言う通りの Confort Inn と言う安宿のある部分。
2009/06/07
Back side of "Lot10 "
BukitBintang はクアラルンプールの銀座と言って良い街だ。その中央交差点脇にグリーンモンスターのようなショッピングコンプレックスLot10(ロット・テン)がある。
Lot10はその交差点側が正面になっていてそちら側からの風貌はデンとして弧を描く緑の威容(または異様)なのであるが、実はこのビルは"デン"で済むほど単純な形はしていない。裏側には立体駐車場も付いていれば別の敷地が入り込んでいて大きく欠けた部分もあり、しかも裏に行くに従って敷地自体がスロープしている。"デン"と見えるのはそちら側のそう言う意匠を作って取り付けただけなのだ。
そして中身はグニャグニャしたステンレスに輝く大きな吹き抜けになっていて、どこかサイケなどこか70年代から見た未来のような面白さがあるものになっている。但し構造的には多分普通の鉄筋コンクリートラーメンであろうと思われるがそうした構造の単純さを感じさせない勢いを持っている。
今回載せたこの写真はLot10のモノレールの通る大通りに面した南西側、広い歩道とこのビルの敷地の境目がわからないように入り混じった感じになっている部分である。
規則的に並んだビルの丸柱と歩道の樹木が混在する。他ではノッペリした形状のビルのこの部分だけは歩道に面する部分のみ多少複雑にえぐられ、そこに階段とモノレール駅へのデッキが絡まるように配置されている。それにより年中暑いこの国であるにも関わらず林の中のような涼しさを感じさせている。
もう古い建物であるが色も含めてなかなか野心的な造型だったのではないだろうか。
※Lot10の正面写真は観光ガイドまたはインターネットで検索すると出てくると思われますので載せません。建築としては有名ではありませんが観光地としては有名ですので、ぜひ検索してみてください。
2009/06/06
マレーシアの建築散歩
クアラルンプールにしばらく居ることになった。
クアラルンプールの街を見ると日本では考えられないような面白い建物が多くみられるので、せっかくだからレポートする事にした。ただ、有名な建物をとり上げてもそれはきっと既に報告されていて珍しくもないだろうから、ここでは無名のものを中心とする。
クアラルンプールの街を見ると日本では考えられないような面白い建物が多くみられるので、せっかくだからレポートする事にした。ただ、有名な建物をとり上げてもそれはきっと既に報告されていて珍しくもないだろうから、ここでは無名のものを中心とする。
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