2007/04/26

中銀カプセルタワー

黒川紀章氏 作「中銀カプセルタワー」が近く解体されるとの事なので見に行ってきた。なかなか面白い形。何の予備知識も無くこの写真を見てもこれが何だか、多分わからないでしょう。

マンションなので中入る事はできないけれど、1Fエントランス横にこのカプセルユニットが展示用に1個置かれていていてその丸い窓から中を観察することができた。外見から察する通り、中は狭い。でも今時のカプセルホテルよりは数倍広くて、まるで船室のよう。そうそう、船の客室に一番近いかも知れない。

ユニットバスがそのまま居室まで延長されて一体で作られている感じ。アイボリーのプラスチックでできたヌルッとした曲線、曲面でできている。昭和の時代に考えた21世紀って感じ。存在しない未来がそこにあるような、何か変な感じがする。


それにしても、大阪万博後の1972年(昭和47年)当時から(多分今も)黒川氏は尖がっていたのだろう。

2007/04/23

スカイハウス


テキスト「建築計画を学ぶ」のp116(図)とp220(写真)の「スカイハウス-1958年」について、何だか面白そうだったのでメモしておきます。上は現在の周辺の様子。黄色いピンがスカイハウスでその右側の住所が菊竹氏事務所。(Google Earth)

K.Kikutake Architects:菊竹清訓(きくたけ きよのり)氏の建築事務所


ここに菊竹氏のプロフィールに加えて往時のスカイハウスの写真が掲載されいている。
斜面に建てられたハウスに隣家等は無く、高いビルも見当たらない。
菊竹清訓-(社)日本建築家協会

「私は日本建築の思想と、アイデンティティーを受継ぎ、これを現代建築で豊かに実現することを念頭に計画、提言を進めてきました。」と書かれています。確かにスカイハウスも部屋の用途を限定しない日本家屋の建築計画を採用しているようです。しかし、上のサイトに登録されたのはスカイハウスから40年以上経過してからの事です。当時と同じポリシーを貫かれているのでしょうか。

上と180度反対側からの写真が掲載されている。
大建築6 -山岡哲哉建築設計事務所


2005年時点でのスカイハウス。
だいぶ太ったらしい。
スカイハウス -Office Ishii

ムーヴネットとはどんな物か。
菊竹氏の事務所に在籍された仙田満氏による紹介文。
FRPムーブネットについて -工芸ニュース 7

量産されたムーヴネットの写真。
現在で言うユニットバス、システムキッチンに近いものらしい。
沿革:日立ハウステック -日立ハウステック


疑問
なぜ空中に居住空間を置いたのか?
夫婦二人だけのプライベート空間を実現するためと解説される事が多いが、空中である必要があったのか?

トイレ、台所などの水周りまで動かせるムーブネットは実際どの程度動かす事が容易なのか。
->ムーヴネットの絵を見ると素人が動かせるようなものでは無いらしい。そうでしょうね。

動作寸法を考慮した建築計画

●動作寸法とは
人が行為を行う時に必要な最低限の寸法。

<->身体寸法
行為をする時でなく静的な状態での寸法。


建築計画で考慮すべき点
1.対象者(利用者)が誰か。
2.対象者がその空間で行う行動は何か。
3.上記によって必要な三次元空間はどの位か。
4.必要な三次元空間+余裕スペース。
5.上記を組み合わせて必要な室内空間とする。

成長する家

家を成長させる住空間への要求は年とともに変化する。

変化の要因
1.家族数の増減
2.子供の成長。
3.住居者の高齢化。
4.世の中の流行変化。
5.生活水準の変化。
6.住宅の陳腐化。
など。

計画時
1.スケルトンインフィル住宅として成長の余地を残した住宅計画。

変化後の対応
2.部屋の使用内容を変える。
日本家屋では部屋が特定の機能を有していないので用途を変更して対応可能。
3.家具、間仕切りを動かして変更する。
建築時にはできるだけ柱を少なくした大空間にしておくと変更し易い。
4.増築する。
敷地面積に余裕を持たせておくと良い。
5.集合住宅で隣接する住戸を連結して接続する。
6.改築する。
7.転居する。

2007/04/20

C.H.ジョーンズの方法

テキスト「建築計画を学ぶ」のp171の右側に表が出ているだけで、本文には登場しない。テキストだけでは本文との関連がつかめないので別途「建築術5 設計方法を探る(彰国社) -システマティックデザインの項p94~」を見る。


建築設計に用いるプロセス

1.非システマティックな方法(従来の方法)
自由度が高いが、どうどうめぐりしてしまう可能性がある。


2.システマティックな方法
建築は他の工業生産品と異なり一品生産的要素が強い。創造的設計の中に合理的アプローチも必要であるのでシステマティックなプロセスを用いる事は有用である。

a.PERT
直線的なプロセスで既に決定したプロセスの進行に適する。

b.DERT
PERTの直線的プロセスを元に設計プロセスに適合するように改良したもの。意思決定イベント、フィードバック、情報収集を重視している。

c.C.H.ジョーンズの方法
Black-Box Method(制約の無い自由な発想、思考を喚起する方法)とGlass-Box Method(分析、総合、評価などを段階を経て行う直線的な方法。PERTなど。)を融合し、設計過程における論理的(理論的ではない)分析と創造的思考の対立を解決している。
●プロセスを大きく分析、総合、評価の3つに分けて進める。(Glass-Box Method的)
●上記3つの各プロセスに現実的限界を考慮しない自由な発想は思考をブレインストーミング、KJ法などを現実的限界からくる制約から自由なアイデアを出すプロセスを数項目入れている。

2007/04/19

長屋/テラスハウス/コーポラティブハウス

長屋-Wikipedia

テラスハウス-Wikipedia
阿佐ヶ谷住宅日記*WHAT01
テラスハウス型 -団地百景

コーポラティブハウス-Wikipedia


「テラスハウス」は「長屋」と、現在はほぼ同義語で使われているようです。
これらは建築の形態の特徴を表す言葉で、1棟を水平方向に区分して共同利用する形の集合住宅を表す。テラスハウスには特にテラスを有するもの。

->「テラスを有する」はテラスハウスと名づけられているものの、どちらかと言えばそれが目的と言うことでは無かったかもしれない。一つの土地を区分して戸建住宅を建てるよりも側壁を共有とする事で「戸建住宅に近い住み心地とプライバシー」を有する集合住宅計画と考えられる。結果として日本の伝統的な長屋のような集合住宅となったのではないか。

「コーポラティブハウス」はその建築の形状ではなく、供給方式による分類。
集合住宅では利用者が確定していない段階で建築が行われる場合がほとんどであるが、本方式では土地の入手その他の建築に関わるほとんどの事を入居者で構成する共同組合で対処する。住戸内部に関しては入居者が戸別に行う。


疑問
1.テラスハウスのテラスは「戸別の庭」なのか「共同の庭」なのか、またはどちらでも良いのか。
阿佐ヶ谷住宅では住民は戸別専用テラスと書いているが、別に区切りの無い庭と書いている人もいる。実際に庭には柵が無いように見えるが。

2.コーポラティブハウスでは一般に集合住宅を建設するようだが、建売一戸建住宅にあるように敷地を共同購入してそこに戸別に一戸建てする場合はコーポラティブハウスでは無いのだろうか。テキスト等に書いてある定義からすると一戸建てでも良いように思うが。

2007/04/18

視知覚と建築計画

建築計画学のテキストには「第11章 空間と知覚」と言う章があって、この中には知覚に関しての知識ばかりが書いてあって、建築計画上注意しなければならないとの記述はほんの少ししかない。

仕方ないので自分の想像力を働かせて考えをまとめるしかないらしい。



ここからはその解釈の概要です。(正解じゃないから気をつけて。批判くれたらうれしい。)

●視知覚のいろいろな効果は(1)計画する側が気をつけるべき事、と(2)建築物を使う側への配慮、の2方向から意識する必要がありそう。

(1)計画する側が気をつけるべき事。
a.プルキンエ現象:実際の壁面の明るさが計画時に想像できないので色が違って見える可能性。
b.色の面積効果:小さな色見本と実際の壁面等では異なって見える可能性あり。
c.計画時には2次元上の表現で、実際は3次元であるので眼球の筋感覚、両眼の視線がなす角度、両眼視差などの生理的奥行知覚が異なる可能性あり。
d.計画時と実際の建築物ではテクスチャの密度勾配、輪郭部の重なり、陰影の違いにより経験的奥行き知覚に差異が出る可能性あり。

(2)建築物を使う側への配慮。
a.暗すぎると凹凸部などが認識できず危険。
b.暗順応には30分ほどかかってしまうので明暗差が大きい場合には危険。
c.眼球には盲斑があるので頭部にあたる部分に突起などがあると危険。
d.網膜像の大きさやテクスチャの密度勾配により狭い空間を広く感じさせることで、精神的ゆとりをもたらす事ができる。一方でスロープや段差では距離感の誤認による事故の可能性もある。
e.老齢による視知覚の弱り、弱視者、色弱者への配慮などバリアフリー化も考慮すべき。

※全然テキストに書かれていない内容もあります。



追加
「プルキンエ現象」を「プルキ"エン"現象」と間違って表記していたのを訂正しました。正解は「プルキンエ」です。

解体される歴史的建造物

最近、近代の歴史的建造物が解体される例が多くなっているようです。

こう言った情報は新聞などのマスコミよりもブログやWeb上の方に情報が豊富のようです。マスコミはどこに新しいショッピング、レジャースポットができたと言ったお金になる情報の方が重要なのかもしれません。スポンサーも付きますし。古いビルの解体ではそうはいきませんから、仕方ないのでしょうか。

三信ビルディング-Wikipedia
三信ビル保存プロジェクト

中銀カプセルタワービル-Wikipedia

東京女子大学レーモンド建築 東寮・体育館を活かす会

壊されていく、近代建築・・・ tansei.net


ではいったい、ビルはどの程度の耐用年数があるのかについてはこちらに記述がありました。

建築学会声明97.12
「同時期に建設された建築物が半分になる年数を寿命と提起した場合、約38年から40年程度」だそうです。日本では近代的なビルが作られてからそれほど歴史が経過していませんからこの数字は実際にビルがどの程度解体されているかを表したものです。物理的にどれだけ耐久性があるかと言う数字ではありません。それはわからないのかもしれません。


もっと古い江戸時代以前の建物であれば歴史的建造物と言う事で保存される可能性はありますが、ビルのように実際に使用してなんぼで価値が決められる中途半端な古さでは「歴史的」とは受け止められないのでしょうか。現在ご活躍中の有名建築家の先生が未だ生きて活躍されいるうちにその作品の方がずっと早くに姿を消すのですね。

そう考えると歴史に地図に名を残すのは何と難しい仕事でしょう。
逆に万里の長城、エジプトのピラミッド、法隆寺などはそれだけすごい物なのですね。


最近は映画「三丁目の夕日」が公開されるなどで「昭和の佇まい」を懐かしがる、いえいえ面白がる傾向もありますが、昭和時代の普通の家やアパートや街並みは実際それほど保存すべきものとは認識されないと思います。トタン張りのボロい家は単にボロい家として何も惜しまれずに壊されていくのでしょう。商店街からそういった建物が一つづつ無くなっていっても「あそこには何があったんだっけ?」とすぐに思い出せなくなってしまう位ですから。

2007/04/17

建築環境

建築環境の定義は何か。

建築環境システム 宿谷研究室-武蔵工業大学 の中では下記のようになっている。

●「建築環境」とは、窓や壁・天井・床などで構成される環境空間のこと。

建築家とは-(社)日本建築家協会には建築環境(
built environment)となっていて、明言されていないが上記の宿谷先生と同じように「建築物内部の環境」と言う意味で使用しているらしい。

上記の中で「住環境」と言う言葉が使われているがこれとの違いは何なのか?


建築と言う仕事の範囲を建築物そのもの意外、つまり周辺環境を含むとように書かれているものが多いのに建築環境と言うときに建築物内部の環境と定義するのには違和感を感じる。
またその前に言葉の定義がはっきりしていない、どこかに書かれていないのもおかしい気がする。


追加
建築環境工学で調べると建築物内部ばかりでなく、その外側についても対象にしているようだ。
建築環境工学とは-東北大

建築環境工学-Wikipediaでは下記を含む建物の性能に関するもののように書かれている。
空気調和工学

2007/04/16

アフォーダンス

アフォーダンス(affordance)とは

アフォーダンス-Wikipedia

アフォーダンス-はてなダイアリー

アフォーダンス-量子論と複雑系のパラダイム

●afford(英単語)
[他動-1]~ができる、~する余裕がある
[他動-2]~を生じる、産出する、提供する、与える


建築計画とアフォーダンスについて (あくまでも私見です。)
建築計画では人の願望や意図、計画する空間の用途、利用する上での効率、快適さ、あり得そうな状況変化、事故防止などを考慮してその空間に最適なアフォーダンスを与える必要がある。