2009/07/22

Islamic Modern


"和モダン"と言う言葉が日本ではよく使われる。
それは多分、建築史の中で日本建築とモダンの類似点が論じられ、和とモダンの相性が良いと我々が認識しているためであろうか。雑誌などを見ると多少それも過度であると感じることもあるが。

ただ、モダンと相性の良いのは和だけではない。日本でも書籍をあたれば中華とモダンのキメラデザインを探すこともできる。多分他の国においてもその類のものはあるに違いない。

今回の被写体はクアラルンプールにある"Islamic Art Museum"である。

現代のイスラム建築は日本ではあまり馴染みが無いものだ。だからイスラム建築と言うとタマネギのようなドームが乗っている組石造の建物を思い浮かべるのだが、世の中いつまでもそのやり方で行けるわけはない。よってここにちゃんと"イスラム・モダン"が存在していると言うことになる。


大きな吹き抜けや緩やかなスロープを使った空間どうしのつなげ方はモダンそのもの。縦の線を強調して見せる柱や伸びやかな床面などの幾何学構成はなるほどイスラムデザインと相性が良いように思える。しかしその幾何学構成をデコラティブにも利用しているところがやはりきちんとイスラム建築らしくて面白い。

上部と下部で形状の違う柱、吹き抜けの上部にあるドーム、天井と壁面の間のスリットからグリーンの光が入ってくるようになているところなど、機能を越えた何かを感じさせる演出がなされている。


但し、これは宗教建築ではなくあくまでも美術館である。
全体の構成はコルビュジェの作品にあるような回廊式に手を加えたような形で回廊の中央部分はイスラム建築によくある噴水のある中庭、それを美術館の中から眺められる。つまり一般の美術館のような窓の少ない建物ではなく自然光で鑑賞させるタイプだ。

そう言う意味からもイスラム建築とモダンの相性の良さを感じさせる建物であった。

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