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2009/07/25
マレーシアの建売住宅
これまでクアラルンプールの不動産会社による建売住宅の資料をいくつか集めてみた。
そのプランはどれもほとんど同じ構成で、個性のようなものは全くと言ってよいほどに無いようだ。それは建売住宅と言う商品なのであるから仕方ないのだろう。もちろん日本のそれも同じようなものだと思う。
写真は建売のセミ・デタッチ(2戸以上が繋がったタイプ)の模型で、左がGF(グランドフロア)で右が(上階)。
日本人にとってまず最初に気になるであろうことは、これが東西南北のどちらを向くかだろうと思う。セミデタッチであれば尚更シビアに左右どちらを買うか考えるのではないだろうか。正解は"無指向性"である。このプランが広い敷地に無作為な向きで置かれている場合が多いのは、季節らしい季節が無いからかと想像する。
GFの奥の壁の向こう側は駐車場とエントランス。駐車場側から直接GFのリビング・ダイニングに入ることになり、日本の住宅のように玄関のような物は無い。靴を脱がないので下駄箱も無い。GFには通常キッチンとその横に使用人部屋、ゲスト用のベッドルームがある。これよりもっと大きな住宅であればゲスト用ベッドルームの数が増え、ダイニングとリビングが分かれたものとなる。
使用人部屋があるのは現在の日本では珍しいが、マレーシアではインドネシアその他からメイドを雇うのが多くの場合普通となっているのでこの程度の住宅を買える層には絶対に必要となる。(メイドの月給は1000リンギットに達しないそうだ。)女性は家庭を守るよりも外で仕事をした方が良いと言う認識も一般的らしい。また核家族化も進んでいるそうだ。
上階にはマスターベッドルーム(夫婦用)と子供のベッドルームが2つある。各部屋にバスルームが付属する。これより大きな住宅になるとベッドルーム数が増え、階段を上がったところに上階用リビングが設定されることになる。
日本の建売住宅の宣伝文句には収納の多さがあるが、マレーシアでは全くそれは気にされないらしい。カタログにも模型にも収納は考慮されていない。ウォークインクローゼットなどももっと高級な住宅でないと設定されない。ベッド数、床面積、そして見た目が全てだ。
セミデタッチで気になる防音、そして気温の高い地域なので断熱も気になるが、壁面の仕上げはコンクリートにペイントのみとなっていて、そのあたりはとても簡素であるようだ。家具を除けば概してこの模型で見えるものだけが商品としての全てなのである。
もう1つ気になる事は、この多民族国家の住人がほとんど唯一と言っても良いこのプランだけで満足できるのか?と言うことだ。中華系は家で靴を脱ぐ習慣は未だ残しているそうであるし、日光の当たらない暗い部屋を好む人たちもいると思われるので最大公約数でも何でもないであろうこのプランはやはり"モダン"のマジックなのではないだろうか。(これについては以前のArchidex09の記事を参照のこと。)
写真左上は上写真のプランの住宅の外観、右上は隣家との繋ぎ目。
下段は別の建売住宅で、外観はモダンそのものだが平面は上段の住宅とほとんど変わらない。これは比較的向きが揃っている方だが、屋根の傾斜を見てわかる通り東西南北は気にされていない。見た目重視度がわかる。ただ、この程度のモダンっぽさではもう誰も驚けないかもしれないが。
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