2009/04/03

道具の話

パソコンが壊れて修理に出たのを記念して、大学での勉強に使った道具について書いてみようと思う。


1.パソコンについて
2年前に大学に入る事を決めたときにパソコンを新たに購入することも決めた。CADに使う事がわかっていたから、それまで使っていたモバイルタイプのノートでは絶対に不足だと分かっていたためだ。コストと性能を考えればデスクトップタイプを選ぶべきだが、少し大きくても持ち運びをする予定だったのでノートで性能の満足するものが前提になる。

性能の指標はAutoCADスペックから引けば良いのだけれど、そこには触れられていない画面の解像度なども考慮する必要がある。それに値段も。そうなるとあまり選べないことがわかる。HPかLenovoのハイスペックなノートパソコンで、パソコンと言うよりモバイルワークステーションてやつだ。ただし、普通に買うとすごーく高い。

選んだのはLenovoの"Thinkpad T60p"と言うモデル。画面はWSXGAサイズ。本当はWUXGAがあれば良かったが、値段でこれしか選べなかった。秋葉原の安い店で半額強で買った。


2.プリンタ
卒研のためにA1サイズのプリントができる大判プリンタを中古で入手した。
送料込で6万円、紙とスペアのインクをアマゾンで買って全部で8万円になってしまったけれど、20枚程度プリントすればキンコーズでプリントするのと同じになる。それに半日待たされなくて済むし何回も失敗できるからそう高くなかった。おかげで1mx0.9mの模型の型紙もできた。

本当は使い終わってから売れたらもっと良かったが、今は不況で出物が多くてオークションに出しても値段が付かないからダメだ。逆にこれから卒研の人は4万円程度で買えると思う。

HP Designjet500 (オプション付:HPGLカード+160MBメモリ)

これを使って他の人の卒研を手伝ってあげたかったけれど、発色などの印刷品質にクセがあったし、ソフトで編集したファイルの出来によって印刷にコツが必要だったのでそれはできなかった。ごめん。そう言う意味で誰にも勧められる方法ではないと思う。


3.Inkscape
Adobeのイラストレータのようなベクター画像のためのソフトで、無料で使えるもの。プリンタがあるおかげで出力センターの指定するソフトを買わなくても、これで済ますことができたと言うわけだ。

済ますと言ってもこれは今まで使って来たアプリケーションの中で最も使いやすいものだった。アイコンを見ただけで使いかたに迷うことがないほどうまく出来ているのにかなり高機能を備えている。マニュアル本も出ているが必要なかったこともあって、これはかなり好きになった。

この手の道具は業界標準のようになっているものを使うのが普通なのだけれど、建築のデザインと言うのは他人がやらない事をやると言った意味もあるわけだから道具だって本当は自分で選んでも良いだろうと思う。ソフトじゃなくてペンや模型材料だったら迷わずそうするのだから、ソフトでも自由度を獲得したらどうだろう。

但し、現バージョンのInkscapeには印刷の面で重大な欠陥があった。ただ、それを補う方法もあるからあまり心配はしていない。


4.OpenOffice.org
無料で使えるオフィスソフトだが、これがあるおかげでMS-Office付きのパソコンを選ばなくて済んだ。ワープロ、表計算、ドロー(絵を描く)、プレゼンテーションなど一通りのことはできるし、MS-Officeのファイルも読み書きできる。

得に重要だったのが、ドローで、これは上に書いたInkscapeと同じような機能のソフト。あれほど高機能ではないが、CAD図の縮尺を心配せずにパネルレイアウトはできる。これでレイアウトして提出した設計課題もある。使いかたはMS-Officeとそう違わない (但しMS-Officeにドロー機能は無い。オートシェイプと似た操作でできる。) し、こちらの方が便利と思うこともある。無料で使える。


5.GIMP
これはAdobeのフォトショップにあたるソフトで、これも無料で使える。
これは高機能なので複雑なことをやろうとすると少しは慣れが必要だ。でも最近は建築の雑誌でもパソコンやCAD雑誌でも紹介されている。

大学の提出物も卒研も最終的には紙だから、どんなソフトを使っていてもあまり問題はないと思った。


6.Picasa3
Googleが配っている写真アルバムのソフトだけれど、ちょっとした写真の編集にはこれがとても重宝だった。基本的な色修正や切抜きは高機能だけれど重いGIMPを使わなくてもこれで大丈夫だった。たくさんの写真の中から選びながら作業できるのが良いと思う。


7.AutoCAD Architecture 学生版
CADはスクーリングで使ったこともあるのでこれを1万円ほどで購入。壁や柱やその他基本的な建築で使う要素が用意されていてとても楽。最初から最後まで全て3次元でモデリングできるのも素敵なことで、2次元でやっていた時とは頭の中も違ってくるように思う。卒研では2Dは全く使用せず3Dだけでやった。

通常版が高くて買えないのが欠点。


8.スキャナ
1200dpiほどの解像度のCanon製スキャナをフリーマーケットで100円で購入して使っていた。ドライバソフトはCanonからダウンロードできるのでパソコンとの接続は何も問題なし。パネルのプリント解像度が高くて600dpi、通常で300dpiで充分なのでこの古いスキャナはとても役に立った。価値ある100円だった。今どきそんなヤツはいないだろうけど。


9.神奈川県立川崎図書館
これは道具と言えるかどうかわからないが、かなり大切なものだ。
大きくてどんな本でも置いてあるのが良い図書館と考えがちだけれども、それは全く違う。この川崎図書館には大学指定の参考書が8割は置いてある。もし無くてもその代わりになる本がすぐ目に見えるところに置かれていて、あまり迷うことなく目的の資料を手に取ることができる。また、かなり貴重な資料も保管されていて東海大学のパラーディオの著書(翻訳)まで出てきたりする。本がちゃんと選ばれているのが重要なのだ。

ここがあったおかげで在学中に本の購入費がほとんどかからなかった。どうせ買ってもほとんどの本は1回しか目を通さないのだから、それより良い図書館の方が役に立つと思う。

この川崎図書館は建築の基礎を勉強する人間にとっては聖地かもしれない。


10.自転車
自転車は発想の道具だと思う。机に向かって一人で考えていると血液の循環が悪くなるためか、なかなか抜け出せない。自転車に乗ると必ず1つや2つ、新しいアイデアが出てくる。どれだけ助けられたことか。


11.マクドナルド
今は120円だけれど、ちょっと前までは100円でコーヒーが飲めてお代りもできる。しかも冷暖房まで付いているから試験勉強には最適。コピー用紙を持って行って試験回答の練習を2回転ほどしたら試験はほぼ完璧だ。でもスタバじゃ高過ぎる。


12.0.9芯のシャープペンシル
大学の試験の回答用紙の紙質が良過ぎて最初の試験では字がグニャグニャになった。きちんと書こうとして消しゴムを使う時間が長くなって困ったものだから、Bで0.9の芯を入れたシャープペンシルに替えた。回答用紙にはいつもだいたいイラストも入れているから、これは良い選択だったと思う。


13.カメラ
建築ではカメラは必須。これはあたりまえ。以前はリコーのR2を使用していて、これが壊れてからはニコンのP50にした。もうどっちも旧式モデル。そしてどっちも画角28mmの少々広角で乾電池が使えるモデル。電池が切れて撮影出来なくなったときに乾電池ならどこにでも売っている。ジャングルのようなところでも人がいれば乾電池はあった。長期間の取材ではこの条件は外せない。そして最低28mmあれば大きな建物はほとんど入るし、室内撮影もできる。だからこの程度は必要だと思った。

本当ならもっと大きくてちゃんとしたカメラが良いのだろうけれど、どうせたいした写真撮れないからコンパクトカメラにしている。使ってみてリコーの方がニコンより良かったと思う。ニコンは近くのピント合わせがリコーより下手だ。


14.家族
何をやるにも支援は必要だ。これも道具と言ったら失礼だろうか。
イチローだって自分で努力したかも知れないが、将来どうなるかわからない野球をやり続けることを許した家族あっての事に違いない。

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