2009/01/19

ボートシステムのその後


前回のボートシステムでは、タイの水上マーケットのような個人の調整能力によってできるランドスケープを考えていた。これはチュミのように点と面の衝突を強制的に生じさせる装置とは異なって、もっと動的で柔らかいものを想定しての事。

なぜなら、グリッドを結節点として相互の関係に変化を生じさせることも可能かと思うが、新たに設定したグリッドを使うと言う点においては19世紀以前の権力による都市計画と変わらないのではないかと言う懸念があるからだ。

電車に乗る時にプラットフォームの床に線が引いてあってそこに並べば混雑していても割合とスムーズに乗り降り可能であるが、そのシステムは個人の調整能力を充分に用いているとは思えない。線と言うシステムに依存した機能に従っているに過ぎないからだ。それはある意味、自由や能力発揮の放棄とも言える。

日本以外のアジアの国に行くと、そうしたシステムはほとんど無くて、チケットを買うためや映画を見るために並ぶと言う事はほとんど経験しない。窓口に向かって扇形に人が群がっていて混乱しているのが常だ。だが、それで電車に乗れないと言う事もないのが不思議だ。割り込んだり、笑顔を交わしたり、そう言った人の能力を多く使ってどうにかチケットは買えるものだから。

しかし、そう言う方法でランドスケープを作っても、あまり見栄えがしないと言うことだ。



そこで、既存ビルに外部との結節点を設けることも考えた。
ビルの一部に自由に穴を開け、そこからビル全体が変質していく途中の状態を、ターミネーターのドロドロしたメタリックのような感じで表現してみたらどうだろう。

0 件のコメント: