2011/05/08

マレーシアの普通の不動産屋さんの広告



建築と言う意味からだとちょっと古い感じがしないでもないのですが、なぜか今まで日本では普通に実現しているような形でもないので写真に撮ってきました。KLCCの地下通路に貼ってある広告です。構造的には別に凝ったものではないでしょう。


マレーシアの場合、建築のデザインの上で日本と違うのは、建築に対しての制限をあまり感じていないらしいと言う事です。

一番感じるのが"南向き志向"の無さです。これは太陽が年中真上に近いところを通る事から来るものだと思いますがそれだけでかなり自由度が高いのです。高層集合住宅の北側も南側も同じように使えますし、土地の形が南北方向に長くても東西方向に長くて関係ありません。どちらに部屋が向いていても誰も損はしないし不公平でもないのです。ただ、日がよく当たるのが良いと言うのではありません。なぜなら日があたると暑いからです。住宅の窓が別の棟に向かい合っていて日が入らなくてもそれはそれで全くかまいません。

2番目は地震が無い事を前提にしているだろうと言う事です。マレーシアは大きな地震がありませんから建物の形状が東西南北でバランスが悪そうでもかまわないのだろうと思います。

3番目は平等じゃなくても良いと言う事があります。さまざまな経済レベルの人が住んでいますのでそれに合わせてさまざまな建物があります。他人と比べる必要なくお金持ちはお金持ちの建物に住みお金持ちのためのショッピングセンターで買い物をし、そうでない人にはそうでない人のための建物があります。要は誰にでも合うように設計、デザインする必要が無いと思われるのです。

簡単な例として駐車場です。お金のあまり無い人向けの集合住宅では駐車場が広くは必要ありませんが富裕層向けにはかならず1戸に1台以上の駐車スペースを確保しないとお話になりません。上の絵でもそうなっています。駐車場だけで1つのショッピングコンプレックスが入るほどの容積を使います。


他にもいろいろ違いはあると思いますが、どうでしょう、自分が何を自然と思っているか、と言うより思い過ぎているかを考えてみてはいかがかと思います。また、逆にそうしないとこうした東南アジアの建築物だけでなく、ヨーロッパなどの有名建築家の作品も正しく評価できないと言う事にはならないでしょうか。

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