友人のS氏の手配でひばりが丘団地の実験棟を見学させていただいた。
この実験棟は既存の団地再生に対しての"技術的"検討と言うことで、建築と言うよりは建設の範囲の実験棟のようだった。ただ、改造されたいくつかのタイプの居室はよく出来ていて、試しに少しの間住んでみたいとも思えるようなものだった。しかし、これらに本気で住む人だったら収納が少ないなどと細かいことを言うだろうし、購入を考えるのであれば将来子供が育ったときに部屋数が少ないなどとも言うだろう。プランはどちらかと言えばキッチネット付きホテルかテンポラリー用途のコンドミニアムのようなもので、家を持ちたいと思わず、身の回りの状況が変わったら移動することを厭わない自分のような人間には悪くない部屋だと思う。ただし、家賃が充分に安いのであればだが。
(だが、既にそれ以外の方法をいろいろ知ってしまっている身には光熱費や管理費の心配をしながらこれに10万円以上の家賃を毎月支払って住み続けるのはどうなのかと思えても来る。同じ値段ならどこかのビーチフロントの掃除も光熱費も心配せずに住むホテルに居たいだけ居るのとどちらが良いのかと思ってしまうと言う意味であって、通勤に便利だからここを選んでできれば一生、と言うような感覚ではない。)
技術的検討が主と言うことなので、この実験棟についてデザインがどうのと言うのは間違いだと思われるが、見た目は一見100年前のバウハウスデザインのようだった。すっきりしているが、う~ん....。もう一つはこのモデルハウスが共用廊下が足されている以外どれもその内部にのみ注力しているために、住戸がやはり鉄の扉で個々に閉じられているスタイルに何の変更も加えていない、いや多分検討すらしていないのだ。今の状態で見た目の商品性が上がっても50年後にはやはり孤独死はあるだろうと予測できるし、1F部分の住戸を集会上にコンバージョンしたとしてもそれがどう使われるかは未検討のままである。建築ではなく建設の実験なのであるから現時点では仕方ないのだろうと思う。もちろん建設と言う面でのいろいろな実験をこうした形でしてみた事については素晴らしいことだ。
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