最近、マレーシアの工場の建て方には決まった様式があるらしいと思い始めた。
そう思ってみるとどの工場も皆、似ている。デコレーションを無視して観察するとほとんど同じ物のように見えてくる。日本で工場をいくつも見てきているが形も構成も様々で似ていると思った事はなかった。日本の工場は本当に生産するための場所でしかなく、作る物が違い、作り方に対する考え方が違えば皆違う。
マレーシアの場合は工場と言う様式があって、そこに生産を当てはめているかのように見える。さらには、何をどう作るかと言う事よりも、かえって『管理』と言う事の方を重視しているようにも見える。
マレーシアでは工場労働者と管理側にいるスタッフの地位に歴然とした差がある。近年では工場労働はバングラデシュ、ネパール、ミャンマーなどの出稼ぎ労働者。そして管理スタッフはマレーシア人である。理由は賃金の差である。
ここまで読んで、図を見ていただければそれがどんな意味かわかるのではないだろうか。マレーシアでは特に考える事なくこうした形式で工場が造られる。1つの会社の1つの敷地に工場が何棟になろうとも考える事なくスタッフ用の事務所が全面に取り付けられる。工場の中でどんな人たちとどんな人たちがどんな立場で働くかが想像できるようである。逆にここで何が作られるのか、それは想像しにくい。